2011年から、SNS(Social Networking Service)サイト「Facebook」の日本における人気急上昇に伴い、「中国のFacebookは何?(中国でFacebookに相当するものは何?)」という質問をよく受けた。しかし、いつもどう答えるべきかと悩んでいた。どうして悩んだかというと、それは、中国には「人人網」や「開心網」など、Facebookと似ているものがあるにはあるが、それらの中国における影響力はFacebookのアメリカや日本などにおける影響力と比べて小さい上、厳密にはFacebookといえそうなものがないという背景があったからだ。

 実際に、ご存じのように、Facebookはまだ中国に進出していないし、中国からFacebookに直接アクセスすることもできない。

 中国のインターネット検索市場では、Googleが中国大陸から撤退した後、Googleを模倣して発展してきた「百度」が同市場をほぼ寡占するような存在となった。それと同じように、Facebookをマネする中国版Facebookが躍進すると考えられたが、なぜか、現実には「中国のFacebookは何?」という質問にすらはっきりと答えられない状況になっているのだ。

 その要因は大まかには2つある、と考えている。1つは、中国のFacebookと訴えている中国のSNSサイトは、表面だけは力を入れてマネをしているもののFacebookの本質を理解していないと思われるからだ。もう1つは、中国ならではのSNSサイト〔中国SINA社(新浪)のSNSサイト「新浪微博」と中国Tencent Holdings社(騰迅)のSNSサイト「Tencent QQ」(「QQ」を通じて提供)〕が大成功したので、Facebookを表面的にマネしたサイトの存在感が薄いことだ。