日系工場で働く中国人には、彼らが感じる日本人管理者像がある。「中国人を育てる意識がない」「中国人を最初から信用していない」「精神論がほとんどで、とにかく頑張れの一点張り」「結局、日本の本社に相談しないと何も決められない」「何かを始めても2~3年ぐらいの配置転換で帰国してしまう」といったものだ。私は中国の日系企業で働く労働者から、何度も同じ話を聞かされてきた。

 「最初の1年間、改善は無理ではないかと何度も諦めかけました。それほど、当初、現場にとっては、改善は受け入れがたいものだったのです。しかし、1年半ほどで効果が現れてきました。このころから幾つかの改善のための小集団活動が生まれ、自主的な活動を始めたのです」

 目を潤ませながら「工場の奇跡」を私に語ってくれた中国人オーナーは、最後にこう締めくくった。

 「変わらないということは、ただ死を待つということなのです」

 その言葉に私はドキリとした。
まるでそれが私たち、そして日本の産業界に向けられた言葉のように聞こえたからである。

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