「本当にここまで自力でやったんですか」
深セン郊外に展開する工場を見学して、その工場の管理レベルの高さに目を疑った。
「見せたい工場がある」というお誘いを受け、中国人が経営する工場を見学することになったのだが、その工場が凄いのだ。

 ラインは整然としていて、機械は一直線にビシッときれいに並んでいる。掃除道具はきちっと片付けられていて、誰が清掃の責任者かを記した表示板もある。通路にはちり一つ落ちていない。まさに整理、整頓の5Sが守られているのだ。

 「食堂はさすがに、ここまでではないだろう」と思ったら、その予測も外れた。社員食堂もきれいに清掃が行き届き、テーブルの上は見事なほどにきれいだ。机も椅子も一直線に並べられている。私はこれまで中国現地の工場を何度も見てきたが、ほとんどの工場の社員食堂は不潔で、清掃をしたことがあるのかと疑うようなところすらあった。日系企業が指導した工場などでは生産ラインは整頓されていたりするのだが、社員食堂まで徹底している工場は意外に少ない。指導をする場合も、現地従業員の憩いの場である食堂のあり方にまで口を出すのは、はばかられるからである。

 事務所棟にも行ってみた。そこにも信じられない光景があった。