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コンサルタントが見た中国の最新工場事情

中国現地企業とロジスティクス

  • 池田 篤彦=日本能率協会コンサルティング シニア・コンサルタント 
  • 2012/08/21 11:00
  • 1/1ページ

 昨年の夏、河南省にある民間冷凍食品メーカーの物流を支援する機会を得た。早速、工場に隣接する倉庫に行き、出荷の現場に立ち会い驚いた。ドックシェルターも無い炎天下の下屋で、冷凍庫から出庫された製品を人海でトラックに積み込んでいる。積み込む最中にケースが落下し、蓋も半開きになっている。その作業現場の付近には壊れたパレットや廃棄品が無造作に捨てられており、とても食品を扱う物流現場とは言い難い状況であった。                                              

 そこから車で20分ほど走った所に新しい倉庫を建設したばかりとのことで、次にその倉庫を訪問して再び驚いた。新設の倉庫は、最新の温度管理設備が施され、ドックシェルターも20数基あり、2万5000トンの収納能力を持つ自動倉庫まで設置されている。また、カスタマイズされたWMS(倉庫管理システム)も導入されており、そこにはトップクラスの物流センターの姿があったのである。

 まさに今の中国を象徴している構図である。あまりに旧態然とした野放図の物流倉庫から、一気に最新設備を持つ物流センターへ、さらにその二つが、平然とあたかも並列で機能しているがごとく運用されている。

 しかしその食品メーカーの物流責任者も大きな悩みを抱えていた。いくら倉庫の建屋や設備が新しくても、真の運用(ソフトウエア)が追いつかないのである。例えば、倉庫オペレーションの計画と、輸配送の運行計画が全く連携できていないため、繁忙期に集荷や荷卸しのトラックが半日以上待機するのは当たり前で、当然、納期の遅延も少なくない。また、零細事業者で組織化されている中国の運輸事情では、比較的効率的な物流運用がしやすい工場間物流でさえ、手積みで積載量が優先されるため、リードタイムにも問題が多い。

 当然、生産部門や販売部門との連携が十分取れているわけではなく、生産調整による在庫波動への対応や、販社からの積載効率を無視した出荷依頼に日々苦労をしているのが現状である。

 外資系、もしくは外資の入った物流事業者に物流をアウトソースしている企業を除外して、物流を社内で運用している多くの中国民間の企業は、同様の課題に直面している。つまり“物流”はあっても、“ロジスティクス”ができていないのである。

 しかしながら日本を振り返っても、物流は“第3の利潤源”、“後処理物流”と言われた時代があり、メーカーの物流部門は、生産と販売の狭間で苦労しながら改善を積み重ねてきた経緯がある。それを考えるとまさに中国もこれから、“物流からロジスティクスへの転換”の時期を迎えようとしているのでる。

 ただし、個人主体かつ、矛盾撞着(むじゅんどうちゃく)を前提とした社会構造の中国である。日本式のロジスティクスがそそまま通用するほど簡単な国ではない。中国固有の前提条件や制約条件に基づき、まさにチャイナ・ロジスティクスをどう作っていくのかがこれからのテーマだと言える。筆者自身、これからもしっかりとその変遷を見届けて行きたい。

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