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専門家の英知は、もはや最先端ではない

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フューチャーセンターをつくろう ― 対話をイノベーションにつなげる仕組み、野村恭彦著、1,680円

山本啓一朗 =かなりあ社中
2012/08/06 00:00
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フューチャーセンターをつくろう — 対話をイノベーションにつなげる仕組み、野村恭彦著、1,680円(税込)、単行本、197ページ、プレジデント社、2012年4月
フューチャーセンターをつくろう — 対話をイノベーションにつなげる仕組み、野村恭彦著、1,680円(税込)、単行本、197ページ、プレジデント社、2012年4月
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 本書は、未来のイノベーターたる技術者の皆さんへの著者からの招待状だ。書名にもある通り、「フューチャーセンター」について解説した書籍である。

 フューチャーセンターという言葉を初めて目にする読者も多いだろう。これは元々、北欧で公的機関を中心に発展した取り組みだ。組織の枠組みを越えて、多様なステークホルダー(利害関係者)が集まり、未来志向で対話する場を指す。対話の中で創発されたアイデアに沿って、協調しながら行動を起こすことが目的である。そのためには、誰もが参加できる「つねに開かれた場」でなければならない。(対話については、Tech-On!のコラム「ソーシャル・リーマンズが行く!」を参照。コラムはこちら。コラムを執筆するかなりあ社中のFacebookページはこちら)。

 著者によれば、日本ではフューチャーセンターが企業を中心に発展している。その理由は、日本企業が得意とする「労働生産性の最大化」の行き詰まりにあるという。リーマン・ショックや欧州の金融危機、スマトラ島やニュージーランド、日本を襲った度重なる大地震など、世界規模で不確実性が蔓延している。日本国内は、少子高齢化の課題も山積だ。今や、先行きの見通しを前提とした「労働生産性の最大化」は通じなくなった。

「イノベーションを創発する場」に未来

 こうした世界規模の課題にいち早く気づいたのが、北欧の小国だ。財務諸表に現れることのない知識や人材などの知的資本を重視する経営モデル(知的資本経営)にいち早く着目し、その実現に向けた転換を進めるための具体策として、フューチャーセンターは発展した。

 私がフューチャーセンターという言葉を初めて耳にしたのも、リーマン・ショック後のことだ。以前からあった日本経済の行く末を案じる議論が顕在化した時期である。「イノベーションを創発する場」としてのフューチャーセンターという考え方に未来を感じた。東日本大震災後のこの1年は、この議論は具体的に対処しなければならない課題として直面することになった。知識資本経営への移行を模索する中で、フューチャーセンターに注目する企業が日本でも増えつつある。

 フューチャーセンターは、日本企業の復活の鍵になる可能性を秘めている。著者は、これを「社会変革装置」と表現する。

 具体的には、新規事業開発やマーケティングのプロセスにフューチャーセンターでの対話の取り組みを有効に組み込める。組織の枠組みを越えた同様の取り組みに「オープン・イノベーション」がある。このキーワードを旗印に産学連携や技術開発に取り組む例は多いが、フューチャーセンターとは決定的な違いがある。それは、フューチャーセンターの発想の基点が“社会問題”であるという点だ。オープン・イノベーションは、あくまで“自社”に関係する技術や市場を中心にした考え方である。

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