今回紹介する書籍
題名:只为成功找办法,不为失败找借口
著者:梁子
出版社:中華工商聯合出版社
出版時期:2012年4月

 今回も『只为成功找办法,不为失败找借口(成功するために方法を探せ、失敗の言い訳を探すな)』を取り上げる。

 1回目は「言い訳」、2回目は具体的エピソードを引用し、本書の魅力をご紹介した。今回は本書で挙げている「問題解決法の見つけ方」をご紹介する。

 どんな問題に直面した場合も、解決できず言い訳するより解決方法を見いだした方が上司の覚えもめでたく会社で重宝される、というのは本書を読まなくても分かることだが、実際には問題解決の方法を見つけるのはそれほど容易ではない。本書では以下の11の項目を挙げ問題解決のヒントを示している。

  • ①ピンチをチャンスに:逆転の発想で問題を解決せよ。
  • ②ほかの人の力を借りろ:協力すれば問題は解決できる。
  • ③全体を見ずに部分を見ろ:分解して考えれば問題は解決できる
  • ④複雑なものを簡単にしろ:とらわれない発想で問題の根本的解決を
  • ⑤相手の立場に立って考えろ:見方を変えれば問題解決の糸口が見える
  • ⑥一旦退いてみろ:遠回りすることで帰って早く問題が解決する
  • ⑦ポイントをつかめ:問題の本質とキーとなる部分を見極めろ
  • ⑧捨てるべきものは捨てろ:取捨選択の重要性を考えろ
  • ⑨見えないものを見ろ:洞察力を働かせて問題を解決しろ
  • ⑩方向性を変えてみろ:一直線に突進せず問題を解決しろ
  • ⑪きっちりやろうとしすぎるな:問題は時に引き延ばすことで解決しやすくなる

 「そのぐらいのことはいつも考えて仕事をしている」という読者も多いだろうが、一覧にすることで本書著者が提示する求められるビジネス・パーソン像が分かりやすくなっている。本書では上記の11項目について詳しく説明した後はさらに進んで、会社で抜きんでた存在になるための条件が書かれている。筆者によると抜きんでた存在になるためには以下のようなポイントあるという。

  • (1)態度が成功のレベルを決める
  • (2)問題解決の方法を見つけることで蟻も獅子になれる
  • (3)いい方法が見つかれば大事業も成し遂げられる
  • (4)何があってもあきらめないことが自らをさらに高みに押し上げる
  • (5)没頭することによってのみ才能は花開く
  • (6)責務を果たすことによってのみ、人より抜きんでることができる
  • (7)積極的に出て自らのブランドを確立せよ
  • (8)細かい部分にも気を配れ
  • (9)すべての仕事を大事業だと思ってやれ
  • (10)常に上司の期待以上の結果を出せ
  • (11)一生勉強。常に変化に適応せよ

 前回ご紹介したのと同じように本書ではこれらの教訓を具体的なエピソードを通じて説明している。その中にはもちろん日本のエピソードも多く含まれている。稲森和夫氏や盛田昭夫氏が中国でも人気があることはご存知の方も多いだろう。

 それらの有名人に交じって中国のビジネス書でよく引き合いに出される日本人がいる。「原一平」という人物を皆さんはご存じだろうか。筆者はたびたび中国のビジネス書でその名を見るのだが、日本の書籍やメディアでその名を見たことは寡聞にしてない。実際検索サイトで見てみても同姓のモノマネタレントの記事が並び、ずっと後ろになってこの人物の記述が出るほどだ。

 原一平は1930年代に活躍した保険のセールスマン。明治生命において30年の長きにわたり営業成績はトップクラスで、全日本生命保険外務員協会の初代会長にも就任し、1976年には勲四等旭日小綬賞をも受賞している。

  このような人物であるにもかかわらず保険業界の人間以外はほとんど知らない人物についても中国のビジネス書は研究している。われわれも逆に彼らの目に映る日本人の優れた点を見直し、先人に学ぶべきではないだろうか。