今回紹介する書籍
題名:只为成功找办法,不为失败找借口
著者:梁子
出版社:中華工商聯合出版社
出版時期:2012年4月

 今回も『只为成功找办法,不为失败找借口(成功するために方法を探せ、失敗の言い訳を探すな)』を取り上げる。先週もご紹介したように、本書の主張は以下の二つ。

① 言い訳をするな

② 問題には解決方法を見つけ出せ

 前回は中国人と言い訳に関する部分についてご紹介したが、今回は本書の「役立つ部分」である「問題解決の方法」に関する記述を取り上げて解説したい。

 本書では「会社で成功するためには問題解決する能力が必要」ということを強く主張している。また、ここでも「言い訳」の時と同じくキャッチーな表現が多い。

  • ■解決できない問題はない。問題を解決できない人がいるだけだ。(3ページ)
  • ■常に問題解決の方法を探していれば、人生はうまくいく。(6ページ)
  • ■頭を使えば使うほど、問題解決法は多く思いつく。(17ページ)
  • ■外部に条件を求めるより、自分の知恵を絞れ。(24ページ)

 というように、問題解決への心理的態度も多く説いているが、実際に役立つ具体的な示唆が多いのも本書の特徴である。中国ビジネス書を読んでいて常々感じるのは、事例が多い割に具体的な手順などの表現がおろそかにされがちだということだ。訳していて、「そこをもっと詳しく書いてくれよ!」と感じることも少なくない。だが、本書は事例が具体的なうえに実際に応用可能な部分まで細かく書かれている。たとえば、以下のようなエピソードが載っていた。

 同時に大学を卒業した二人の男がある会社に入社した。入社後2年たって、片方が管理職に就いた。後れを取った方は面白くなく思い、社長に「自分もこんなに努力しているのになぜ彼だけが抜擢されたのか」と直談判に行った。

 すると社長は彼にこう言った。

 「隣の市場に行ってどんなものを売っているかを見てきて、私に報告してくれたまえ」

 その男は帰ってきて

 「農民がジャガイモを手押し車に乗せて売りに来ていましたよ」といった。

 すると社長は

 「そうかい、手押し車1台分で何キロぐらいあるかな」といった。

 その男は「ちょっと言って聞いてきます。」と言って聞きに行き「大体150キロぐらいあるそうです」と答えた。

 社長が「大体いくらかね」というとまた彼は農民に聞きに行った。

 「500グラムで0.8元だそうです」

 「全部買うからどのくらいやすくしてくれるかな?」

 彼はまた隣の市場まで聞きに走った。

 「全部買ってくれるなら500グラム当たり0.6元にしてくれるそうです」

 彼は息を切らし汗をかきながらそう報告した。

 すると社長は「ちょっとそこで休んでいなさい」といい、昇進した方の男を読んでこう言った。

 「隣の市場に行ってどんなものを売っているか見て私に報告してくれたまえ」

 するとその男は見に行ってきてこう答えた。

 「社長、農民が手押し車にジャガイモを乗せて売りに来ていました。聞いてみると全部で150キロで、500グラム当たり0.8元で売っているそうですが、全部買えば0.6元にしてくれるそうです」

 社長が「じゃあ、その農民を呼んできてくれ」というと彼は

 「もう玄関のところまで呼んできてありますから、ひと声かければここへ参ります」と言った。

 直談判に来た男はそれを見て、恥ずかしさに顔から火が出そうだった。

 本書のエピソードはこのように、具体的であり、思わず引き込まれてしまうものが多い。ここが、本書が若者に受けている理由であろう。