18回党大会


 中国共産党は今年の秋には5年に一度の第18回全国代表大会を開催する。この大会では約8000万人の党員を有する巨大な党の最高指導層である新しい中央委員200余名が選ばれ、頂点に立つ総書記に習近平氏 (現中央政治局常務委員、国家副主席)が総書記に選出される予定である。現在の胡錦濤総書記は引退する。そして来年3月の第12期全国人民代表大会で習氏が国家主席に、李克強氏(現中央政治局常務委員、国務院副総理)が国務院総理に昇格する予定と言われる。

 このように今秋から来春にかけて中国では党と国家の指導者が世代交代する。選ばれた指導者のうち50歳代の指導者は今後2期10年 国政を担うことになる。

30年毎の転機


 中国共産党の90年の歴史を振り返ってみると、ほぼ30年ごとに大きな転機を乗り越えて発展してきたことが分かる。誕生から第1の30年では、毛沢東の指導の下で抗日戦争と国民党との内戦に勝利し、中華人民共和国を建国した(1949年)。第2の30年間は毛沢東の指導の下で社会主義計画経済の道を歩み、国連に復帰し、米国との関係を正常化させた(1979年)。第3の30年には鄧小平の指導により、対外開放と市場経済化の経済政策に転換し、WTOに加盟し、米国に次ぐ第2の経済大国(2010年)に発展させた。

 さて今秋登場する習近平氏は第4の30年の最初の10年のかじ取り役を担うことになる。

持続的経済発展への努力


 5年前に胡錦濤総書記は「中国の前途命運は世界の前途命運と日々密接に結びついている」と述べた。WTOに加盟して10年、「世界の工場」、「世界の市場」と言われる中国はグローバル経済にしっかりと組み込まれている。今後も高度経済成長を維持していくことができるのか。中国は経済の持続的発展を実現するために、産業構造の調整と発展方式の転換を政策目標に掲げており、「ニセモノ天国」の汚名を返上し、「技術強国」となるために懸命の努力を傾けている。

 しかし一方で、国内に目を向けると、経済発展の反作用として「エネルギー不足」「水不足」「環境汚染」「精神汚染(腐敗)」が深刻化している。「格差」も拡大しつつある。

日中に必要な主張と理解の積み重ね


 これまで述べてきたように、日中両国の経済関係はすでに密接不可分に結びついており、共存共栄の道を深める以外に道はないと思われる。双方にとってお互いにやりにくい相手かもしれないが、「相互主張」と「相互理解」とを忍耐強く積み重ねていく必要があろう。「堪忍袋の緒」が切れて、「問答無用」と手を振り上げた方が負けることは明白だ。(連載終わり)