シマウマの逃げ方ライオンの追い方、和田典之著、1,500円(税込)、単行本、249ページ、パレード、2012年7月
シマウマの逃げ方ライオンの追い方、和田典之著、1,500円(税込)、単行本、249ページ、パレード、2012年7月
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 次の日、目を覚ますと、今度はメスライオンになっていた。声をかけてくれたメスライオンは、狩りのリーダーを務める超マジメなライオンだ。こんどはシマウマをつかまえる方の立場になったので、青年は他のメスライオンたちと狩りに出かける。しかし、狩りの現場でスタンドプレーをしてしまい、獲物を取りのがしてしまう。

 リーダーのメスライオンは青年に、次のように説教する。
「プロというのは、一頭一頭がそれぞれに与えられた役割をやり抜くことを言う。そして日々、自分を磨き、昨日よりも今日の自分が成長していく。それがプロの姿よ。対してアナタは、群れにおける役割よりも、自分が手柄を上げることだけしか考えていない。しかも、自分が絶対正しいという妄想に縛られている」

 こうして、目をさますたびに、シマウマの群れとライオンの群れを行ったり来たりしているうちに、青年はさまざまな群れの“掟”(ルール)を学んでいく。
 やがて成長した青年は、問題のあるリーダーの追放や群れ社会の改革も経験し、快適なサバンナ生活のなかで、「僕は、やっと僕を発見した!」と叫ぶ。

 初めはシマウマへの変身やお説教するメスライオンの存在が荒唐無稽に思えたが、すぐに気にならなくなった。読み進むにしたがって、教訓に満ちたサバンナ世界がビジネス・パーソンの職場そのものに思えてくるから不思議だ。

 インパクトのある表紙を見て手にする人も多いだろう。もしかすると「もしドラ」や「ゾウ」にせまる大ヒットになるかもしれない。
 デキる技術者を自認するTech-On!読者なら(笑)、ベストセラーになる前に、いまのうちに先物買いしてみてはいかがだろうか。

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■著者紹介
浅沼ヒロシ(あさぬま・ひろし)
ブック・レビュアー。
1957年北海道生まれ。
日経ビジネス本誌、日経ビジネスオンライン連動企画「超ビジネス書レビュー」(2011年9月終了)のほか、「宝島」誌にも連載歴あり。
ブログ「晴読雨読日記」、メルマガ「ココロにしみる読書ノート」の発行人。
著書に『泣いて 笑って ホッとして…』がある。
ツイッターアカウント:http://twitter.com/syohyou