なんと! 青年が目をさましたのはアフリカのサバンナだったのだ。
ゼブラ柄の1頭のシマウマに声をかけられて驚く間もなく、自分もゼブラ柄で蹄がついていることが分かった。顔を触ってみると、もちろん長くて細いウマヅラだ。
突然の変化に納得できなかったが、ともかくここで生きていくしかない。声をかけてくれたシマウマの話によると、サバンナでは群れに属していないと、すぐにライオンに食われてしまう、とのこと。続けてシマウマが言う。
「ここ(サバンナ)では、群れの中で、各自が決められた役割を果すことで初めて生きながらえることができるんだ。ルールを守れない者は群れから追い出されてしまう」
さすがに一匹狼を気取っているわけにもいかない。群れに入れてもらった青年は、見張り兼おとり係を命じられる。ライオンをギリギリの距離まで引きつけてから、おとりになって逃げる役目だ。
足の速さには自信のある青年だったが、いざライオンが襲ってくると、後ろ足がもつれて捕まりそうになってしまう。もうダメだ、と思ったとき、群れに誘ってくれたシマウマがおとり役を引き受けてくれ、間一髪で青年の命は助かった。
そういえば、自分のリベートのあと始末をしてくれたのは、ふだん小バカにしていた課長だった。自分の思い上がりを少しだけ反省しながら青年は眠りにつく。