基本的に需給の均衡が続く3Q

 3Qは季節性に沿った需要増を想定しているが、マクロ景気に不透明要素が多く、需要もそれに左右されることを考慮し、少し保守的に見積もっている。それに応じた、需給バランス均衡維持のためのパネルメーカーの稼動調整が想定されるため、基本的に需給の均衡が続くと見ている、と前置きした上で3Qの主要事前予想を述べている。

 3Qの主要事前予想は下記の通り。1)出荷数量(m2)はQOQで約5%増、ASPはQOQで安定基調、つまり売上高はQOQで増収、2)稼働率は90%超程度とみているが、在庫の適正化も重要視し、適宜調整していく、3)コスト削減はQOQで1~3%減と「Low Single % Down」、4)テレビ向けパネル価格はQOQで1桁台の上昇(面積ベース)と安定基調、としている。

 市場動向は不安定なマクロ経済環境や欧州の需要低迷など不透明要素も多いとした上で、今後の事業方針を述べた。1)LCD事業に関しては運営効率のさらなる改善、高付加価値パネルの比率上昇により増収を目指す、2)有機EL(OLED)において、完成品ではなくセルの形で顧客に納品する事業展開も進めていく、3) LCD事業への投資を最小限に抑え、成長分野であるハイエンド携帯端末向けLTPSパネルなどに注力していく、4)中国でパネル生産を行い、成長率が高い中国液晶テレビ市場での競争力強化を図るために、中国で第8世代(G8)工場投資を行う。既に新工場建設の起工式を挙行しており、2014年に量産を開始する計画である。

 OLED事業戦略については、下記の方針を述べた。1)コスト的に有利な白色有機EL(基板は酸化物)を採用、2)今年下期からテストラインであるOLED専用のG8(P8-3)工場で量産開始、生産能力は基板ベースで8000枚/月、3)大型サイズOLEDの量産ライン追加投資(規模、時期)については、OLEDの事業・収益機会(プラス要素)と生産能力移管によるLCD事業の機会損失(マイナス要素)を比較検討したうえで決定する、4)OLEDはテレビ用のみでなく、パブリック・ディスプレイ分野などにも展開する、5)中小型OLEDに関しては現在G4.5で生産(生産能力は1万2000枚/月)しているが、今後はG6工場の活用を踏まえつつ、フレキシブル基板の採用を進めていく。