「アスパラ! そんなこと、アンタがとやかく言うことじゃないでしょう! 大会社の社長の給料を気にするヒマがあったら、自分の仕事をしなさいよ! ったく、もう!」。

 やれやれ、朝からアスパラがお局にドヤされてますヨ。どうも、例の自動車メーカーの社長の給料が高いと言ったそうな。

 「で、でも先輩。どう考えても高いですよ。何十億円ももらうなんて、ボクには考えられません」。

 「だからァ、そこがアンタは分かっていないのよ。いい、大会社の社長の給料が高いとか安いとか、アンタは自分の給料と比較して考えているでしょ。そこがバカなのよ。社長の給料というのは、その会社、もっと言えば株主が、その社長の仕事ぶりを評価して決める、つまり、100%、その会社の評価基準で決めるのよ。いい、分かった?。それをアンタは自分のフトコロと比較して論じるなんて、バカ丸出しよォ!」。

 まあ、その通りでしょうナ。自分の給料と社長の給料を比較したところで、何も得なこたァありませんヤネ。しかも、大体が社長の方が高い場合が圧倒的に多い訳でして、そりゃあ、面白くないという個人的感情もありましょうが、何のメリットもありませんヨ。

 「ねえ、そうでしょう次郎さん。社長の給料を高いとか安いとかいう人に限って、自分の給料は安いと勘違いしているのよ。アタシに言わせれば、アスパラの給料なんて、もらえるだけでありがたいと思わなくちゃ。逆に、会社に授業料を払うのが本当じゃない?」。

 「うわあ、先輩、それは言い過ぎですよ。ボクは働いた対価として給料をもらっているのですから、こっちが払うなんて、もうメチャクチャですよ」。

 「いやあ、それが本当かもしれねえぜェ。アスパラ、お局の言うように、キミは会社に払うほうがイイのかもしれねえ。ナァ、次郎さん」。

 ははは、部長もヒドイことを言いますよ。アスパラ、もう集中砲火を浴びています。