注目点はiPad mini/OGS/中小型・大型有機EL

 注目すべきは、(1)8月から量産が始まると見られるiPad mini向けパネル(7.85型XGA)の動向、(2)タッチパネルではOGSの動向、(3)3Qから量産開始予定のスマートフォン用257ppi有機ELパネルの動向、(4)G6でテスト生産中の酸化物半導体利用の基板、大型パネル向け有機ELの動向、である。

 iPad miniのパネルを供給するのは、AUO及び韓国LG Display社だが、他社と比べて米Apple社との取引が少ないAUOにとっては好機である。既に蘇州(Suzhou)に専用のモジュール・ラインも用意しており、量産タイミングや数量に注目したい。

 有機ELに関しては、L3(第3.5世代)で8000枚/月、シンガポールのL4(第4.5世代)において2万枚/月の生産能力で量産を行う。しかし、L4に関しては第4.5世代の装置のチューニングや製品仕様の改良にまだかなりの時間を要すると見られ、まずはL3の立ち上がり動向がカギとなる。現時点では韓国Samsung Mobile Display社(SMD)しかアクティブ・マトリックス有機ELパネルのサプライヤがいない中で、同社がどこまで供給できるか、要注目である。大型向け有機ELはG6工場で開発を進めている。

 2011年10月に横浜市で開催された「FPD International」にて、酸化物半導体を使った基板ベースの32型フルHD有機ELパネルを発表している。同社は、L6B(第6世代)に酸化物半導体とCu配線のプロセスを導入し、中小型の高精細パネルや大型の4K2K液晶パネルや有機EL用基板を生産するものとみられる。有機ELの製造工程については、日本・台湾の報道などでソニーとの協業が話題となっている。大型有機ELパネルの量産経験を持たないAUOと、G2基板とはいえ17型/25型の有機ELパネルを量産しているソニーとの相性は少なくとも悪くなく、利害関係は一致する。こちらも今後の動向に注目したい。