総経理の澎双浪(Paul Peng)氏の需給、経営戦略、有機ELなどに関するコメントは次の通り。

(a)大型パネル需給については、20 12年の供給能力はYOYで7.4%増を見込む一方(1Q決算発表時から不変)、需要は同11.5%増を想定しており(1Q決算時は12%)、需給ギャップの縮小を見込む。

(b)アプリケーション別の状況は下記の通り。テレビ向けパネルの出荷数量は、想定より弱い一方、平均寸法は想定を上回っており、全体ではほぼ想定の範囲内。モニターは欧州需要の落ち込みやモバイル機器による代用などで需要は総じて弱い。ノートパソコンはウルトラブックの貢献によってYOYで7~9%増を、タブレットは同60%増を台数ベースで見込む。ウルトラブック比率は2012年に7%、2013年に20%を見込み、タッチパネル装着比率は同2~3%、10%を見込んでいる。

(c)収益関連では、2Qは6月に発生した地震の影響で第6世代(G6)工場の生産出荷に影響が及び、稼働率が約80%と想定を下回った。出荷への影響は7月に出るため、3Qの出荷数量の見通しをQOQでフラットと低めの設定とした。

(d)戦略に関して、技術で差異化する方針を示した。大型パネルでは超狭額縁、超薄型、4K2Kなどに注力する。狭額縁にはGOA(gate on array)技術、4K2KにはCu配線や酸化物半導体の技術が必要となり、他社との差異化が可能と考える。ノートパソコン/タブレットでは高精細パネル(フルHD以上)やOGS(one glass solution)に付加価値を見出す。薄型パネル用に0.4mm厚ガラス採用のパネル量産も始めた。中小型でもタッチパネルなどに注力し、パネルに付加価値を取り込む戦略を取る。インセル・タッチパネルは5型以下のスマートフォン向けに検討中。政府などから支援の厚い中国のパネル・メーカーと戦うには、とにかく技術力を高め、違う土俵で競うしかない。

(e)有機ELについては、大型パネル向けにG6にテスト・ラインを導入済み。重要顧客と協業し、4K2Kパネルを見据えて酸化物半導体を使った基板をベースに開発を進めている。2012年内に大型サイズのサンプル製品を出したい。将来はG5~G8まで幅広く酸化物半導体の利用を開始することも検討している。中小型についてはL3(G3.5)で1半期遅れとなるが3Qから4.3型(257ppi)パネルの量産を始める。