もちろん、この話はすべての日本のメーカーに当てはまるわけではありません。材料や電子部品といった分野では、世界市場で高いシェアを持っていたり、海外メーカーと互角に戦っているメーカーもたくさんあります。しかし、特定の分野では、競争力の低下のために世界で通用しなくなった日本メーカーが存在するのも純然たる事実です。

 ではどうすればいいのか。残念ながら私には答は分かりません。そもそも、すぐに正解が見つかるような問題なら、日本のエレクトロニクス・メーカーがここまでひどい状況に追い込まれることはなかったでしょう。

 どこからか卓越したリーダーが現れれば、この現状を変えてくれるのかもしれません。日産自動車を立て直したCarlos Ghosn氏のように。しかし、優れたリーダーがいながら持ちこたえられなかったエルピーダメモリのような例もあります。

 いるかどうかも分からないリーダーを、いつまで待っていても仕方ありません。ボトムアップが日本の特徴であるなら、一人ひとりが「自分の仕事は自分で作る」「常に新しいことにチャレンジする」「世界に目を向ける」といった気構えを持つしかないのかもしれません。