大型液晶パネルは、需要面で踊り場にある。供給は想定よりも若干低めに推移している。2012年7月以降の稼働率は再び上昇基調にあるものの、5月の水準を若干上回る程度であり、3Q(第3四半期)も稼働率は86%、QOQ(対前四半期)8%増と繁忙期にしては盛り上がりに欠ける展開になると予想している。その分、需給は悪化しにくい。パネル・メーカーが需要に応じた生産調整を行う前提で微妙な均衡を維持すると我々は見ており、パネル価格は大きく上がりも下がりもしない状況がしばらく続くであろう。

 変数を一つ挙げれば、注目は台湾Hon Hai Precision Industry社(鴻海精密工業、通称Foxconn)の郭董事長が出資した堺ディスプレイプロダクトの第10世代工場である。同社 が今後60型を中心にどこまで増産し、市場へのどのような影響を及ぼすのか。

 同社増産のインパクトは無視できない。JV発足が当初予定から一カ月遅れ8月になると見られることから、本格増産は8月からとなる可能性が高い。8~10月については7万2000枚/月の生産能力に対して平均で6万枚/月、稼働率にして83%程度の生産を当社では想定している。仮に、月産6万枚のうち4万枚 を60型に、1万5000枚を70型に、残り5000枚を40型に充てると考えれば、月間生産数量は60型が25万~29万(歩留まり考慮後)、70型が6万~7万枚(同)、40型が8万枚程度の生産となる。