「蓬田さん。彼は無事、再就職できそうだよ。心配かけたね」

 元三洋半導体の技術者である名野隆夫氏から、うれしい連絡がありました。三洋半導体時代の同僚で、再雇用先を探していたあるベテラン技術者が、移り先を見つけられそうというものです。

 この技術者の方は、かつて三洋半導体のアナログ技術者教育に携わっていた名野氏(Tech-On!の関連記事)が、「僕のアナログの師匠」と一目置くほどに、アナログ回路設計にお詳しい方です。名野氏のお話によく登場する方で、特に電源回路設計に強いということを聞いていました。

 ところが会社の環境が激変する中、これほどのベテラン技術者でも再雇用先を探さざるを得なくなりました。数カ月前、名野氏から私を含む数名の所に「彼が再雇用先を探している。どこかいい会社を知らないか」と、問い合わせが来ていました。私も、無い知恵を絞っていくつかの会社のお名前を出しました。ただ、決して人事部などにつながりがあるわけでもなく、アナログ技術者を大事にしていそうな会社の、名前とホームページをお伝えするのが精一杯でした。

 結果的には、ご自身で再雇用先を見つけられました。しかも、三つの候補企業から、都合に最も合った会社を選択できたとか。決め手になったのは、以前から仕事で付き合いがあったことと、アナログ回路設計に強いことが理由になったそうです。

アナログ設計のスキルを磨く

 このことを聞いて、我々から出た率直な感想は、「今どき、3社から選べるなんてスゴイ」というものです。