雨堤徹氏
兵庫県洲本市で開かれたAmaz研究所の竣工式にて。
[画像のクリックで拡大表示]
2012年7月14日オープンしたAmaz研究所の外観
[画像のクリックで拡大表示]
Amaz研究所の竣工式における餅まきの様子
[画像のクリックで拡大表示]

 三洋電機のリチウムイオン電池の開発でリーダー的存在だった雨堤徹氏(54)が退社独立し、2012年7月14日、郷里の兵庫県洲本市に研究所をオープンさせた。本格稼働は同年秋からになる。8300m2の敷地で建屋面積は約1200m2。電池製造の前工程や後工程の設備、安全性などの評価装置も兼ね備える本格的な研究所となる。今後3年間で投資や融資で資金調達して約5億円の設備投資を行い、研究の中身を充実させていく考えだ。

「鳥飼から世界へ」

 この研究所で新型電池の開発の他、電気自動車(EV)向け電池などの安全評価も行う。世界の自動車メーカーから引き合いが来ているという。

 地元を中心に8人を新規雇用した。淡路島にある洲本市は高齢化や過疎化に悩んでおり、少しでも雇用増につながればと期待しており、研究所が建つ土地は市が貸した。14日の竣工式には市役所や市議会関係者、中学時代の友人ら多くが出席した。

 研究所が位置する地名にちなんで、雨堤氏は「鳥飼から世界へ」をキャッチフレーズに掲げ、研究所運営にあたっての基本理念をこう語った。

「加速するグローバル化に対応するためには、単に海外に出て行けばいい話ではない。地方にいてもグローバルなビジネスに対応できることをこの研究所の活動で証明したい。電池を中心としたエネルギーの新しい技術についてこの地から世界に発信していきたい」

 志とアイデアがあれば、仕事をする場所は関係ないということであろう。そして、その志やアイデアがしっかりした経験に裏打ちされたものであればあるほど、個人であっても小さな会社であっても資金は集まる――。研究所の竣工式に筆者も招待されて参加したが、ベンチャービジネスの「原点」を肌で感じた。