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永井麻生子=おあしすランゲージラボラトリー代表
2012/07/30 00:00
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今回紹介する書籍
題名:六度人脈
編著:李維文
出版社:湖南文芸出版社
出版時期:2012年6月

 今回は、「6人たどればどんな人にでもたどりつく」という「6人の隔たり」の法則をもとに中国人向けに書かれた人脈構築の実用書『六度人脈』の3回目。

 前回も書いたように、書籍販売サイトでも高評価を得ている本書だが、基本的な姿勢はとてもシビアだ。文中に

「人脈の根本は利益の与えあいだ。」(196ページ)

「利用されることを恐れるより、人の役に立たないことを恐れよ」(186ページ)

とあるが、人脈を単なる利益のやり取りだけだと考えているわけではない。人間関係を築いていく上での思いやりなどの重要性も適切に説かれている。

 だが、その中でも本書のキモとなるのは「自らの価値を上げる」ということだ。7章以降はすべて自らの価値を上げることの重要性について語っていると言っても過言ではない。上のレベルの付き合いの輪に入りたければ、自らのレベルを上げること。「6人たどればどんな人にも行きつく」と言っても自分自身に価値がなければ、その壁を突破することはできない。

 本書の表紙には次のような言葉が書かれている。

しかるべき人を探し出す→最も早い方法で彼と知り合う→手伝ってもらって成功しよう
同じ努力で500%のリターン!

だが、内容は上記のように大変シビアで地味なものだ。そして、本書の第9章では多くのページを割いて「同理心」について語っている。「同理」という言葉は一般的な辞書では出てこないが、インターネット上の百科事典の中国版「百度百科」には掲載されている。最近一般化してきた言葉なのであろうか。「相手の身になって考える。真心で人に接する。情を以て人と付き合う」などという心情をひっくるめて「同理心」と言っているようである。要はやはり、心で人に接することが大事である、ということだろうか。

 だが、もちろん、本書はそのような精神的な面だけを強調している書籍ではない。具体的に「第一印象がすべてを決める」として、第一印象を良くする方法を紹介しているほか、「握手は初対面の時は15秒以内。握手しているときに相手の名前を2回呼べ」「パーティでは食事よりも人脈作りに集中できるように、事前に食事をしてからいけ」といったように、人間関係を円滑に進め、人脈を広げるための細かなやり方も多く述べられている。

 その、まとめとして最後に本書作者がビジネス・パートナー(スミス氏。本書作者がスミス氏を尊敬し、信頼し、自らの成功の理由であると考えていることは本書中随所から読み取れる)と知り合った際のエピソードが載せられている。

 彼らはアメリカのある地方選挙の時に知り合った。選挙運動の一環として現地の名士たちを集めたパーティが行われた。そのとき本書作者は「華僑ビジネスマンクラブ」の一員としてそのパーティに招待された。彼は早めに会場に着き、設営しているところを眺めていた。スタッフがあわただしく準備をしているところに一人の紳士がやって来た。その人は明らかに何かに困っている様子だったが、準備に与念がないスタッフはその紳士をかまうようなそぶりがなかった。そこで私が彼に「どうなさいましたか?」と声をかけたところ、「あ、あなたは中国人ですか。問題が起きまして」と答えた。聞くと彼はスミスと言い、政界でも名が知れた有名なビジネスマンだった。その彼が一緒に来るはずの友人とはぐれてしまい、電話もつながらないという。そこでその友人の名を聞いてみると「華僑ビジネスマンクラブ」のメンバーだった。そこで本書筆者が自宅に電話をかけて奥さんに事情を話したところ、彼の無事も分かり一件落着した。大変感激したスミスはその翌日にも本書作者のオフィスを訪ね、ほどなく二人は一緒に事業をするようになったという。

 このことは「早めにパーティ会場に着いておくことのメリット」「困っている人を助けることのメリット」を十分に裏付けている。

 このように本書は具体的な事例を挙げながら「実利」「精神」のどちらにも効く社交指南書として大変意義深いものだと言える。

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