激動の2008年

 2008年もまた世界が激動した。日中関係では年初に日本企業が中国河北省の食品メーカーに委託生産して輸入した冷凍ギョウザによる中毒事件が発生した。事件を通じて、日中経済が日本国民の日常生活と緊密に結び付いていることが浮き彫りになった。5月12日の四川大地震、8月8日北京オリンピック開幕。8月下旬には河北省の三鹿集団公司はじめ中国の主要乳製品メーカーが生産する粉ミルクで化学物質メラミン混入事件が発生。また、1979年の合意以来約30年間継続された日本の対中円借款供与がこの年に終了した。

 9月15日、米国のリーマンブラザーズ社の倒産を引き金に世界金融危機が発生。直ちに世界主要20カ国首脳会議が開催され、危機への対応が協議された。経済のグローバル化のすさまじさを実感させられた。加えて11月4日、オバマ氏が選挙に勝ち、アメリカ史上初の黒人大統領が誕生した。

双方向交流の時代

 今世紀に入って中国はそれまでの外資導入だけでなく、中国企業の対外投資を積極的に進めるようになった。日本においても2009年蘇寧電器による家電量販店ラオックスの買収、2010年山東如意集団によるレナウンの買収などが大々的に報道された。中国企業の日本進出は611社に上るとの調査機関の報告も発表された。

 貿易においても2007年以後アメリカに代わって中国が日本の最大の相手国になっている。中国にとって日本は米国に次ぐ第2の貿易相手国である。また、伝統的に日本は工業製品、特に生産財を中国に輸出し、農産物及び工業原料を中国から輸入する貿易構造であった。しかし製造業を中心に中国への産業移転が進み、在中日系企業が4万社に及ぶ状況を反映し、近年は輸出入とも工業製品が主体となっている。さらに新しい動きとして日本の食品や化粧品といった高級消費財が中国に輸出されるようになった。まさに双方向交流の時代に入ったということができる。

共同事業の構築へ

 2011年3月11日、史上類を見ないほど激烈な東北関東大地震が発生し、東日本は甚大な被害を受けた。中国人研修生を避難させた後、自分は津波にのみ込まれた日本人の実話も報道された。この大地震によって今後日中経済交流にも一定の悪影響が出るのは避けがたい。しかし、国境を越えてより広い地域経済圏が形成されつつある今日、日中双方の経済界が互いに「智慧を出し合い地域経済の発展に寄与する共同事業を構築」していくことが日中関係をさらに発展させる鍵の一つになると思う。