2012年6月の大型液晶パネル価格は、一部のテレビ用パネルを除いて、上昇にブレーキがかかった。ノート・パソコン用、モニタ用パネルでは前月比ステイ、またテレビ用パネルでは同ステイ~2%の上昇、特に42型では同1~2%の上昇となった(図1図2)(大型液晶パネル価格の詳細レポートはこちら)。

 7月上旬の価格交渉の状況は、パネルの過剰在庫を危惧する顧客のセット・メーカーがパネル調達に非常に慎重となっている状況が多く見られる。例年であれば繁忙期にもかかわらず、2012年後半のセット需要が読みにくいことなどが原因となっている。

図1 IT用液晶パネル価格推移(7月以降は予測)
出典: ディスプレイサーチ,「月刊 大型LCD&PDP価格調査レポート」
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図2 32型テレビ用液晶パネル価格推移(7月以降は予測)
出典: ディスプレイサーチ,「月刊 大型LCD&PDP価格調査レポート」
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部材市場ではパネル在庫の増加への懸念も

 6月のパネル部材発注は鈍化、一部では実際の需要が計画よりも10~20%低くなっているもようだ。一方、スマートフォンやタブレット端末に使われる300ppi超のパネル向け部材の出荷は好調である。ただ、特に第8世代の大型ガラス基板でのタブレット端末向けパネルの生産は、アレイ基板とカラー・フィルタ基板の位置合わせが難しく、歩留まりが安定していない状況が続いている。

エコ補助金制度で需要増を期待する中国テレビ・メーカー

 例年ならば、4月から8月まではテレビ・メーカーが液晶パネルの購入を継続するため、一定の需要の盛り上がりによる価格の上昇が期待される。しかし、今年は39型や50型などの新サイズが春先に登場したものの、6月の段階でパネル需要はすでに息切れの状態になっている。