急伸するタブレットPC、スマートTV市場

 パーソナル・コンピューティング・デバイスの新たな形として、米Apple社のタブレットPC「iPad」が世に登場してから2年が経つ。DisplaySearch社の最新刊「季刊 タブレットPC総合調査レポート」によると、タブレットPCの出荷台数は2010年の2000万台から2011年には8200万台へと成長しており、2012年には1億2700万台規模に達してモバイルPC市場全体の35.4%を占めるまでに拡大すると見られている。さらに将来に目を向けると、4~5年先にはタブレットPCがノートPCの出荷数を上回る見通しだ。これらの予測に基づけば、タブレットPCはいずれモバイルPC市場の過半数を占め、パーソナル・コンピューティング・デバイスの主流になると考えてよいだろう(図1)。

図1 急伸するタブレットPC市場
出典:ディスプレイサーチ、「季刊 タブレットPC総合調査レポート」
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 スマートTVもこのところ話題の中心となっている。数年前、ブランドメーカーがその販売や宣伝の中で、いわゆるコネクテッドTVやインターネット対応のテレビを「スマートTV」と呼び始めた。それ以来スマートTVは高い支持を得るようになり、それまでテレビを展開していなかった大手ブランド会社がこの市場に向けて意欲的な計画を発表するようになった。次の「Apple TV」の噂も世に広く喧伝されている。2012年にはコネクテッドTV(最近話題のスマートTVも含まれる)の出荷が9000万台に達し、この市場が大きく盛り上がると見られている。ブランド各社の野心的なスマートTV出荷計画から見て、2013年にはスマートTVの出荷が急増し1億台の大台を超えると、DisplaySearchは「季刊 スマートTV出荷調査レポート」で予測している。図2の通り、2014年にはスマートTVが世界のテレビ出荷台数の過半数を占める見通しだ。

図2 コネクテッドTVの世界出荷数と浸透率
出典:ディスプレイサーチ、「季刊 スマートTV出荷調査レポート」
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 ところが最近まで、市場の分析やレポートの中で、タブレットPCとスマートTVが一緒に語られることはあまりなかった。いまや半導体メーカーがIT系やモバイル系の製品からテレビや公共表示ディスプレイにまで進出し、この2つの急成長分野の間の交流は以前より活発になっている。さまざまなディスプレイ製品同士の通信もこれまで以上に頻度が高くなっている。携帯機器、特にスマートフォンやタブレットPCはあらゆる場所をつなぐディスプレイ端末だと言える。タブレットPCとスマートTVの組み合せも、こうした機器の選択肢の一つになりうるだろう。