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ファーウェイ急成長の謎を解く(1)

永井麻生子=おあしすランゲージラボラトリー代表
2012/06/18 00:00
印刷用ページ
今回紹介する書籍
題名:解密華為
編著:余勝海
出版社:中信出版社
出版時期:2011年9月

 今回から紹介するのは『解密華為(ファーウェイの秘密を解きあかす)』。ファーウェイという企業の存在はTech-On!読者の皆様にはおなじみであろうが、その実態については謎に包まれている。

 本書の表紙折り返し部にはこのように書かれている。

 多くの人にとってファーウェイという企業とそのトップである任正非という男は「謎」である。ファーウェイは1988年、深センで設立、資本金はわずか2万元、プログラム電話交換機の代理販売から始め、22年間のうちに世界第2位の電信設備メーカーとなり、2010年には世界の500大企業に名を連ね、中国企業の目標となった。

 本稿では、本書に基づき、ファーウェイ急成長の秘密を

  1. ファーウェイの価値観を体現した「ファーウェイ基本法」の存在
  2. 軍人CEOと呼ばれる男・任正非
  3. 研究開発こそが価値を生み出す
  4. 国際化のキモ

という四つの観点を中心に分析していきたい。

 まずは、「ファーウェイ基本法」について。「ファーウェイ基本法(以下、基本法と略)」とはファーウェイの基本理念や経営方針をまとめたものだが、驚くべきことにウィキペディアの中国版ともいえる「百度百科」にも一項目として記載され、全文が掲載されている。本書によれば基本法は1996年ごろから考案され、1998年に正式に発表されたものであり、基本理念のほかに、経営方針、組織編制、人材開発、管理方針、後継者およびその改正方法などからなる2万字に及ぶ「憲法」である。本書では事あるごとに「基本法」に言及され、いかにファーウェイにとってこの基本法が重要な存在かがわかる。

 また、本書では触れられていないが、「百度百科」ではこの基本法について面白い解説を付けている。「この基本法がほかの企業から大変な関心を寄せられているのは、普段低姿勢な(永井注:本書の中でも任正非CEOについて何度も『低姿勢』『謙虚』といった表現が現れる)ファーウェイがこのように高らかに自らの理念を謳い上げているからだ。このようなファーウェイの2面性がより人々に『ファーウェイは理解できない』と感じさせるのである。」

 このように本稿の冒頭でも述べたとおり、中国人にとってもファーウェイは謎なのだ。なぜ、このようにファーウェイは謎と感じられるのか。基本法の第1条では以下のように謳われている。「ファーウェイを世界一の設備サプライヤーとするために、我々は決して情報サービス産業には進出しない」。つまり、消費者と接する分野ではなくあくまで情報サービス産業に設備を提供する立場を貫く、ということである。それにより消費者からは何をしているかわかりにくくなり「謎」感が強まっているのではないだろうか。

 また、それに加え、マスコミなどにほとんど登場しない任正非CEOのキャラクターもファーウェイの「謎」感を強めている。次週は、この任正非CEOの紹介からファーウェイの技術重視戦略について解説を進めていこうと思う。

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