シャープの液晶パネルの事業にiPhoneやiPadの製造を手掛ける台湾の鴻海精密工業(Hon Hai)が出資。ルネサス エレクトロニクスは世界で4割もの市場シェアを有するマイクロコントローラ(マイコン)の製造を、世界最大の半導体製造の専業メーカーである台湾のTSMCに委託。

 経営難に苦しむ日本企業と、製造の規模で圧倒的に優位に立つ台湾の企業との連携が相次いでいます。日本企業は資金を得たり、工場のリストラにより、当面の経営の危機を避けるのが狙いでしょう。

 一方、台湾の企業の狙いはシャープの液晶や、ルネサスのマイコンと言った日本企業の技術。経営難に苦しむ日本企業の技術力に目をつけた、こうした外国企業との連携や投資は今後も増えるでしょう。

 ただ、Hon HaiやTSMCは日本企業の技術を自社の他の製品に転用することも狙っているでしょう。日本企業の技術が外国企業に移転した結果、日本の企業は用済みになり、やがて見捨てられるリスクはもちろんあります。

 しかし、見方を変えると、こうした海外の巨大企業との連携は、日本の技術が世界標準になるチャンスでもあります。例えば、TSMCはルネサスのロジックLSI混載用のフラッシュ・メモリ技術を採用すると報道されています。

 このロジックLSI混載用のフラッシュ・メモリ技術は、自動車などで要求される極めて高い信頼性を実現するために、メモリというデバイスだけでなく、メモリを駆動する制御回路方式や、誤り訂正回路(ECC)といったシステムにまで様々な工夫をしています。

 TSMCはルネサスのフラッシュ・メモリ技術を、TSMCで製造される様々な製品にも転用するとも言われています。例えばスマートフォン向けのCPUなど、膨大な量が出荷させる製品にも使われるかもしれません。