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要チェックの中国の女性セレブ(2)

永井麻生子=おあしすランゲージラボラトリー代表
2012/06/04 00:00
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今回紹介する書籍
題名:你一定要认识的30位财智女性
編著:秦江涛
出版社:中国紡績出版社
出版時期:2011年10月

 今回も『你一定要认识的30位财智女性(あなたが知っておくべき30人の“財知”女性)』から、「ハイアールの母」、と呼ばれる女性を紹介する。

 ご存じのとおりハイアールは1984年に冷蔵庫製造から始まり(当時の社名は青島电冰箱总厂),1991年に青島空調器总厂と合併し、ハイアールグループとなった。その後順調に成長を続け、2011年には8万を超す従業員を擁し、1509億元(約2兆2635億円)の売上高を誇る世界的な家電メーカーとなった。小泉今日子の出演する「アクア」ブランドの宣伝を目にした読者も多いことだろう(「アクア」は三洋電機から2011年にハイアールに事業譲渡された)。

 では、その「ハイアールの母」とはどんな人物なのだろうか。

 彼女の名は楊綿綿。1941年8月に上海で生まれ、1963年に山東工業大学(2000年に山東大学に吸収)を卒業している。1984年から青島电冰箱(電気冷蔵庫)总厂の副社長を務め、その時から当時社長であった張瑞敏との協力関係が始まった。そして彼女はハイアールの創業時には創業グループの一員となり、のちに社長を務め、全人代(全国人民代表大会)にも出席している。このように社内外で高い地位を誇り、2004年には「ウォールストリートジャーナル」で「世界で最も注目すべき50人のビジネスウーマン」に数えられている。

 彼女は大学卒業後、すぐに家電業界に進んだわけではない。彼女は大学卒業後、教師になり、その後ほかの企業で働いてからハイアールの前身となる冷蔵庫メーカーに入る。しかし、彼女が入社した時「青島电冰箱总厂」は147万元の赤字を出し、倒産の危機に瀕していた。それがその後20年以上2ケタ成長を続け、2001年には全世界での売上額が602億元に達し、外貨獲得額は4.2億ドルとなった。

 ではその急成長の秘密は何なのか。

 本書では、それを「ブランド戦略」だとしている。1984年と言えば、まだ中国では市場経済が芽生えたばかりで、多くの企業では近代的な企業経営というものさえよく理解されていなかった。そこでハイアールでは率先して「高品質」を掲げ、自らのブランドを築いていった。そして、その品質管理を任されたのが楊綿綿だ。彼女は率先してハイアールのブランド戦略と品質管理を推し進めてきた。

 ハイアールには有名な「冷蔵庫ぶっ壊し事件」がある。このエピソードはハイアールの発展史上重要な出来事であるだけでなく、多くの有名MBAコースで事例として取り上げられている。1985年のことだ。楊綿綿は幹部職員に品質に関する意識を向上させ、「一流」という観念を植え付けるために、問題ある冷蔵庫をハンマーで叩き壊したという。当時、冷蔵庫一台あたりの値段は1000元以上した。満足する品質のものができなければたとえ高価な製品であっても叩き壊してしまう、という楊綿綿らの姿勢は職員に深く浸透し、ハイアールブランドは確立されていった。楊綿綿は「品質の道」「ブランドの道」「生存の道」「発展の道」がハイアールの企業文化である、と語り、その理念はハイアールの隅々までいきわたっているという。

 このようにして「潰れかけ」(楊綿綿入社当時の青島电冰箱总厂に関して、本書のみならず多くの資料がこの表現を使っている)の冷蔵庫メーカーは世界に冠たる白物家電の雄へと成長した。

 このような軌跡は本書で描かれるすべての女性がたどっている。ただ、その中で80後(1980年代に生まれた世代)の成功者として紹介されている李叙y陽は、やはり異質だ。その「美女富豪」と呼ばれる李叙y陽を次週はご紹介したい。

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