設計・生産 ものづくり現場の競争力アップに貢献する
 

第4回:オープン・イノベーション

井上 潤吾=ボストン コンサルティング グループ
2012/05/24 11:45
印刷用ページ

 前回までは、自社で新技術を開発するプロセスを説明してきました。今回は、他社を活用した新技術開発、すなわちオープン・イノベーションについて説明します。

オープン・イノベーションとは

 従来の新技術開発は、企業独自の文化や技術蓄積から生まれてくるのが普通でした。この背景として、「競争環境の中で生き残るには、ライバルより先んじて自社の優位性を確実にすることが必要だ。そのためには自らの企業秘密を死守し、独力で新しい事業や製品を開発するのが経営の常道である」という、いわゆる自前主義があったからです。しかし、開発にスピードが要求される環境になり、新たな議論が出てきています。「独自性の高い、新しい事業や技術などを自社単独で創造できるものなのか」「外部の経営資源をもっと有効に利用して、速くかつ効果的にイノベーションを創出できないか」というものです。

 米ハーバード・ビジネス・スクール教授のヘンリー・チェスブロウ氏は、従来の自前主義のイノベーションを「クローズド・イノベーション」、他力を活用するイノベーションを「オープン・イノベーション」と呼びました。同氏は半導体メーカーのインテルを例にとり、オープン・イノベーションの定義を「外部の知識・知恵を企業のイノベーション創出に利用すること」としています。インテルはご存じの通り、パソコンの心臓部にあたるマイクロプロセッサで世界第1位のメーカーです。ところが意外なことに、当初は企業内研究所を持たずに世界的なイノベーションを実現しました。彼らは、他の会社(当時はAT&T、ゼロックスなど)の基礎研究成果を活用して、その製品開発に注力しました。つまり、経営資源を「先進的な研究開発」ではなく、「先進的な製品開発」に集中させて、品質問題や製造プロセス上の課題解決に全力を挙げたのです。この戦略はうまくいき、短期間で世界的な事業拡大を実現できました。

 オープン・イノベーションの事例は、日本でも出てきています。研究開発テーマの公表はこれまで多くの企業でタブーでしたが、塩野義製薬は自社の研究開発テーマを公表し、社外から積極的な提案を求めています。産業財メーカーの旭硝子でも、同様の動きを取り始め、多くの課題を公表しました。

ここから先は日経テクノロジーオンライン会員の方のみ、お読みいただけます。
・会員登録済みの方は、左下の「ログイン」ボタンをクリックしてログイン完了後にご参照ください。
・会員登録がお済みでない方は、右下の会員登録ボタンをクリックして、会員登録を完了させてからご参照ください。会員登録は無料です。

【技術者塾】(9/14開催)
「エスノグラフィック・インタビュー」(行動観察実践編)

~潜在ニーズを見つけてヒット商品を生む~


ヒット商品づくりに必要な「潜在的な(未来の)ニーズ」を発見する方法を学びます。人間中心設計(HCD)と「エスノグラフィック・インタビュー」の概要を理解した後、演習を実施。観察やインタビューから新しいユーザー価値を見いだすまでの過程を体験的に学べるブログラムです。 詳細は、こちら
日時:2015年9月14日(月)10:00~17:00
会場:Learning Square新橋(東京・新橋)
主催:日経ものづくり

マイページ

マイページのご利用には日経テクノロジーオンラインの会員登録が必要です。

マイページでは記事のクリッピング(ブックマーク)、登録したキーワードを含む新着記事の表示(Myキーワード)、登録した連載の新着記事表示(連載ウォッチ)が利用できます。

協力メディア&
関連サイト

  • 日経エレクトロニクス
  • 日経ものづくり
  • 日経Automotive
  • 日経デジタルヘルス
  • メガソーラービジネス
  • 明日をつむぐテクノロジー
  • 新・公民連携最前線
  • 技術者塾

Follow Us

  • Facebook
  • Twitter
  • RSS

お薦めトピック

日経テクノロジーオンラインSpecial

記事ランキング