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一人だけの駐在、中国人との交流が深まる

片寄浩紀=日本国際貿易促進協会 相談役
2012/05/30 00:00
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初めての北京駐在

 1977年5月、北京に単身赴任した。初めての駐在である。事務所(宿舎兼用)は北京飯店東楼の4008号室で、全くの一人であった。駐在事務所に中国人職員を雇用できるようになったのは1980年に「外国企業常駐代表機構の管理暫定規定」が制定されて以後のことで、それまではどこの事務所でも日本人だけで運営していた。

 最初にみまわれたのは電話恐怖症であった。当時の北京は市内電話の音声でさえとぎれとぎれで、宇宙の果てからやっと電波が届いたといった様子。私の中国語のレベルの低さもあり、なにしろ相手が言うことがさっぱり聞き取れない。「これから連絡文書を持って行きます」といってタクシーで駆けつけたものだ。

 次に困ったのがそのタクシー。外出はホテルの玄関に待つタクシーを利用したが、利用客はどんどん増えるのに、車はなかなか増えず、慢性的なタクシー不足であった。急ぐ時には本当に困った。

 74年の正月に自宅に招待した李天相氏が石油工業部の副部長に昇進しており、訪中した理事長のアポイントがスムーズに取れたのはうれしかった。

新年に西安旅行

 7月7日に商社の駐在員の方々と廬溝橋と周口店(北京原人遺跡)への日帰り旅行をした。廬溝橋を渡ってその外側へ行くにも「旅行証」が必要であり、手続きを対外貿易部(現在の商務部)にお願いした。日本処の郭莉女士(現在中央人民政府駐香港連絡弁公室副主任)がアテンドまでしてくれた。

 当時の駐在員は大使館関係者及び新聞記者を除きほとんどが単身赴任であり、かつホテル住まいだった。週末、ホテルの部屋でのマージャンははばかられるし、ゴルフ場はまだなかった。幸いなことに佐藤正二大使が囲碁好きで、毎月1回大使公邸を開放し囲碁会を催していただいた。その発展として、外交部日本処の丁民処長のお世話で、日中囲碁交流大会も行なわれた。さらに年末には駐在員のうちの越年組の方々と列車で西安へ旅行した。西安への各人の旅行証を一括して取得するのに大変な苦労をしたことも、今では懐かしい思い出である。

文革と開放の狭間

 1978年の2月末までの短い駐在ではあったが、仕事を通じて何人かの中国人との交流が深まった。孫鴻友氏(中国国際貿易促進委員会連絡部幹部)は当協会の出版物「日中貿易必携」内容一新の恩人であり、任建新氏(中国国際貿易促進委員会法律部長、後に最高人民法院院長)は当協会の法務分野での活動を長期にわたり支援していただいた。趙桐林氏(冶金工業部外事局処長)はロシア語及び日本語の通訳であり、共に通訳上の苦労を語り合った。

 ただ、1977年は文革終了(76年)と対外開放(78年)との狭間の年で、中国の人々が国の将来に不安を感じていた時期であった。しかも内部と外部との垣根はまだ厳然と存在しており、北京にいても中国内部事情はほとんど分からなかった。しかし、かつて「資本主義の道を歩む実権派」として排除されていた鄧小平氏が正式に復活(7月22日)したことは将来の大変化への予兆であった。

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