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イノベーターひとづくり考

知的財産ファンドを運営し、企業価値を高める事業化を担当しています。

DBJキャピタルの山口泰久取締役・投資部長

  • 丸山 正明=技術ジャーナリスト
  • 2012/05/17 08:00
  • 1/4ページ
DBJキャピタルの山口泰久取締役・投資部長
DBJキャピタルの山口泰久取締役・投資部長

 日本で「知的財産」という言葉をよく聞くようになって、ある程度の時間が経った。例えば、自民党政権の小泉純一郎内閣は平成 15 年 (2003 年)3 月に内閣府に知的財産戦略本部を設立し,企業や大学、公的研究機関などの既存組織に対して、従前の“モノ”中心の事業戦略から、“知識や知恵”などの知的財産を重視する知的財産戦略に軸足を移すように促した。

 この結果、先進企業の一部は知的財産戦略部などの専門部署を設け、毎年「知的財産報告書」を発行し、当該企業の知的財産戦略方針などを発表するようになった。また、各大学は知的財産本部(実際の名称は各大学ごとに異なる)を設け、知的財産ポリシーを策定する大学が増えた。その一方で、米国の企業では当たり前になっている知的財産担当の取締役が、日本企業では現在でもほとんどいないということも事実だ。日本では知的財産を重視する姿勢が以前よりは強まったものの、企業はまだ知的財産戦略に本腰を入れていないとの見方を裏付けている。

 2011年4月から米国のアップル社と韓国のサムスン電子が知的財産権侵害に関する訴訟合戦を、世界各国で繰り広げている。スマートフォン(高機能携帯電話機)やタブレット端末などのハイテク製品で、世界各地での市場の覇権争いを繰り広げている両者は互いに譲れないからである。また、2011年8月に米国グーグル社が通信機器大手の米モトローラ・モビリティー社を買収した理由は、スマートフォン関連の特許の争奪戦が激しさを増していることにある。有力特許を持つ老舗メーカーを買収し、知的財産分野での競争力を強化することを狙ったと推定されている。米国では、保有する特許網の強化が有力な事業戦略になっており、知的財産戦略がますます重要視されている。

 以上のように知的財産あるいは知的財産戦略が重要さを増す時代を迎え、日本で知的財産の事業化を牽引し、その意味を“布教”し続けている人物が、日本政策投資銀行系のDBJキャピタル(東京都千代田区)の山口泰久取締役・投資部長だ。

 例えば、2012年1月23日に特許庁傘下の工業所有権情報・研修館が開催した「国際知的財産活用フォーラム2012」のパネルディスカッション「中堅・中小・ベンチャー企業における多様な取組と諸課題」で講演をしたり、2月8日に文部科学省が開催した「大学発新産業創出拠点プロジェクト」公募説明会でパネリストを務めたりなどと、機会ある度に、知的財産の事業化の重要性を説いて回っている。

 知的財産の事業化の中身は、研究開発担当者や研究開発企画者、設計開発の技術者などにとっては、ふだん馴染みのない言葉なども登場し、理解が難しい部分もある。日ごろの知的財産の事業化の講演内容を、 山口取締役にかみ砕いて解説してもらった。

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