TFT液晶大手の韓国LG Display社が、4月24日、2012年度第1四半期決算を発表した。売上高は対前年同期比(YOY)15%増、対前四半期比(QOQ)6%減の6兆1840億ウォンだった。顧客の実需に加えて、在庫補充の需要があったことなどを背景に、ここ数年の第1四半期(1Q)売上高の傾向(QOQで-10%程度)よりも良好ではあったが、QOQ横ばいという事前予想を下回った。

 下振れの要因として、中国市場における3D対応のFPR(Film Patterned Retarder)フィルム付き製品需要が想定よりも弱かったこと、新製品投入が遅れたこと、プロダクト・ミックスが悪化したこと(タブレットPC向けが生産遅延によって出荷減少)などを同社は挙げた。タブレットPCとは「新しいiPad」向け264ppiの9.7型パネルと推察される。

 営業損失は1780億ウォン(YOYで赤字縮小、QOQで赤字拡大)、当期損失は1290億ウォン(YOY赤字拡大、QOQ赤字拡大)。売上総利益率は5.3%、営業利益率は-2.9%。稼働率は90%台前半だった。

平均単価は事前予想下回るQOQ-2%

 2012年1Qの出荷面積は8089km2(YOY+20%、QOQ-4%)と、QOQで横ばいの事前予想を下回った。下振れの要因は、中国市場における3D対応のFPRフィルム付き製品の需要が想定よりも弱かったこと、付加価値製品の投入が遅れたことと、同社はコメントした。現時点では、これらの製品対応についての生産は問題がなくなったとしている。平均単価(blended ASP)はQOQで 2%低下の669米ドルと、事前予想(QOQで横ばい)を下回った。

2Qの面積成長率、YOY10%へ下方修正

 2Qの予想は下記の通り。(1)出荷数量(?)はQOQ+10%程度の増加、(2)ASPはblended ASPベースでQOQ+5%程度、(3)コスト削減については設計改良や材料費の低下によってQOQ-1~-3%程度。品質が同水準であることを前提に、下期のガラス基板調達に関しては価格がより魅力的な企業にシフトすると同社はコメントした。

 同社想定の2012年のパネル需要(面積成長率)は、従来の「YOY+15%」から「YOY+10%程度」に下方修正した。供給能力については、業界全体でYOY+5%の伸びを想定している。2012年のアプリケーション別需要の見通しは、テレビ向けYOY+10%、モニター向け同+2%、ノートPC向け同+5%、タブレット向け同+50%弱、スマートフォンなど小型機器向けは同+40%。同社については、供給能力がYOY+5%に対し、需要はYOY+20%(=稼働率上昇、生産出荷面積増加)との見通しを示した。