「韓国勢が、随分派手にやっているという印象だ」(ある国内メーカーの技術者)

 電力を無線で伝送するワイヤレス給電技術。その国際標準化や技術開発において、韓国のメーカーや研究機関が、非常に活発な動きを見せています。

CEAでの標準化、走行中給電の技術開発も

 まず標準化に関しては、米家電協会(CEA:Consumer Electronics Association)で携帯機器や車載機器向けワイヤレス給電方式の標準化を進める「R6.3 Wireless Power Subcommittee」において、Hyundai社の担当者が議長を務めており、LG Electronics社などの提案によって方式の議論が着々と進んでいるそうです。CEAで規格化された内容は、その後IECの国際標準規格につながっていく可能性もあるなど、家電業界にとって重要性の高い議論の場と言えます。CEAでの標準化の下準備のためか、韓国国内の業界団体であるTTA(Telecommunications Technology Association)には、CEAの各WGに沿った形で標準化プロジェクトが立ち上がっており、2012年中にもインタフェース仕様や制御手法などが規格化されるもようです。

 プロジェクトにはSamsung Electronics社やLG Electronics社などが加わっている他、韓国政府の意をくんで、韓国放送通信委員会(KCC)も積極的にサポートしています。このほかSamsung社やKT社などがMFAN(Magnetic Field Area Network)との名の下、非接触充電のユースケースやシナリオ、標準化などを検討中とのことです。

 技術開発では韓国科学技術院(KAIST)が積極的です。特にEV充電に向けた研究開発が進んでおり、既に走行中給電が可能なシステム「OLEV:On-Line Electrical Vehicle」を試作し、実証試験が始まっています。OLEVは、道路に埋め込まれた1次コイルから、EVの2次コイルに無線給電するシステムで、停止時だけでなく、走行中の給電が可能としています。KAISTは、ゴルフカートのような小型車だけでなく、大型バスやトラムなどでOLEVのシステムを組み込んでおり、韓国国内や海外での事業化を狙っています。