世界各地にMemjet技術を展開(資料:Yole Developpement社)
世界各地にMemjet技術を展開(資料:Yole Developpement社)
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 米Memjet社の新型MEMSプリントヘッド技術と、ほかのどの企業とも異なる経営戦略は、インクジェットのサプライ・チェーンに大きな影響を与えるかもしれない。

 仏Yole Developpement社は、Memjet社のインクジェット・プリントヘッドの斬新な設計とユニークな経営戦略に注目し「Memjet Company Profile」というレポートをまとめた。このレポートでは、Memjet社とMemjet技術がインクジェットのサプライ・チェーン全体に与える可能性のある影響について詳細に分析している。

 Memjet社は2007年にオーストラリアSilverbrook Research社から独立し、本社をカリフォルニア州サンディエゴ市に構えている。また、アイルランド、台湾、シンガポール、アイダホ州ボイシ市にもオフィスを持つ。Silverbrook Research社はMemjet社の中核技術を開発した企業だ。その技術とは、印刷用紙と同じ幅を持つMEMSプリントヘッド・モジュールで、ページ全体を一回で印刷できるもの。Memjet社は株式非公開の企業である。

 Memjet社は、Memjet技術が実用化された際にサプライ・チェーンに与えるであろう影響の大きさから、これまでビッグフットにたとえられてきた。このほどMemjet技術を搭載した初のOEM製品が発売された。

 成熟したと考えられてきたプリントヘッド市場で、 Memjet技術は「真に破壊的」な技術として歓迎されている。なぜなら、現在の技術よりもずっと高速でコストが低く、顧客に高価値の提案をできるからだ。

 今までと異なるのは技術だけではない。Memjet社はプリンタの製造をしてない。同社の戦略は、プリントヘッドとインク、そしてその他の部品をパートナ企業に売ることだ。