上司が率先垂範し、部下の目線に合わせること。そして、部下に活躍の場を与えること。この2つは、カイゼン活動だけではなく、職場のアウトプットを高める上で重要なヒントになりそうです。

 もう1つ、部下に一定の「遊び」を持たせるのも得策ではないでしょうか。これはカイゼン活動とは関係ないのですが、ある金型メーカーの社長は、社員のヤル気を高めるために、社員が楽しめる場所にあえて出張に行かせているといいます。この会社は本社を岐阜に構え、長崎県と沖縄県に生産拠点を設けています。社長が拠点の設置場所に両県を選んだ理由の1つが、「出張が楽しくなるから」とおっしゃいます。初めは「冗談かな?」と思いましたが、お話をうかがっているうちに、それがとても合理的な考えであることに気づきました。想像してみてください。皆さんは、仕事しかやることのない出張と、仕事の後に温泉や観光を楽しめる出張とでは、どちらの方がヤル気が出ますか? 私なら迷わず後者と答えます。

 企業が短期的利益ばかり追求し、生産工場を日本から海外へ移転させる動きがますます強まっています。本当に日本の工場は、もうこれ以上、生産性を上げることができないのでしょうか。工場だけではなく、どこの職場でも同じです。本当にあなたの職場は、最大のアウトプットを出せていますか? 私たちは、目先の利益追求からいったん目をそらし、「働くことの楽しさ」について、もう一度、考える時期に来ているのかもしれません。