3月6~9日の4日間、東京ビッグサイトでLED照明の展示会「LED Next Stage 2012」が開催されました。その名の通り、LED照明満載の展示会でして、国内外の企業が所狭しと新製品を並べ、新提案を披露していました。

 今、LED電球のみならず、天井灯に使うLEDシーリングライトが飛ぶように売れているなど、LED照明普及の勢いは弱まる気配がありません。ほんの数年前まで、LED照明は明るさを何とか稼ぎ出して“照明になろう”と必死だったことを考えると、隔世の感があります。「LEDで実現できない照明はない」と言わんばかりに、さまざまな用途のLED照明器具で満ちあふれていました。

 品種の多様さに加え、今回の展示会はユーザーの使い勝手を高めようとする提案が多々見られたことも特徴といえます。照明の点灯や消灯、調光を、もっと手軽にやってもらおうというもの。例えば、リコーのブースでは、タブレット端末で調光制御する開発品を披露していました。身近な機器を利用できるようにすることで、調光を身近に感じられるようです。

 NECライティングのブースには、スマートフォンで調光制御できるLEDシーリングライトがありました。Android端末を利用し、BluetoothによってLEDシーリングライトを制御するデモンストレーションを披露していました。このLEDシーリングライトはスピーカーも備えているのが興味深いところで、Bluetoothを使ってAndroid端末から音楽データをLEDシーリングライトに転送し、天井から光と共に部屋には音楽が降り注ぐようにしています。音楽のジャンルに合わせて、明るさや光の色合いを変更したりできるそうです。2012年中の販売を目指しているとのこと。

 一方、音声で調光制御するというデモンストレーションもありました。台湾の電源メーカーPhihong Technology社の日本法人である飛宏科技日本が出展したもので、例えば「点灯」「消灯」「節電イチ」(50%に減灯)とコントローラに向かって話しかけると、その通りに照明が変わります。マイクを備えたコントローラから、LEDを点灯する電源に音声データを無線で送り、LEDを制御します。無線の詳細は明らかにしていませんでしたが、2.4GHz帯を利用しているとのこと。

 飛宏科技日本は2011年10月開催の「Smart City Week 2011」において、スマートフォンやパソコンなどから無線LANを使ってLED照明を制御するシステムを出展していました。同社は、スマートフォンやタブレット端末、パソコン、さまざまなリモコンなどと無線でつなげられるようなLED点灯電源の引き合いが今後増えるとみており、LED照明の普及が急速に進む日本市場において今年、製品を展開すると語っていました。

 こうしたLED照明の展示を見ていくと、LED照明は蛍光灯や白熱電球といった既存照明の置き換えを超え、新たな照明の使い方を提案するフェーズに入ったといえます。LED照明には数多くの企業が参入しており、製品の低価格化競争は今後一層激しくなるでしょう。「明るく照らす」という単機能では魅力的な製品とは言いにくくなり、低価格化の波にすぐに飲み込まれる状況がすぐそこに来ている感じがします。