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日本のエレクトロニクス、敗因も復活への処方箋も多種多様

悲観的になり過ぎず自らの強みを見つめ直す

竹内 健=東京大学 准教授
2012/03/26 09:00
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「ムーアの法則の終焉」
「過剰品質の高コストな製品」
「ハードからソフトへの転換の遅れ」
「機能のガラパゴス化」

 日本のエレクトロニクス産業の凋落の原因として、以上のようなキーワードが良く使われます。エルピーダメモリが倒産しただけではなく、パナソニック、シャープ、NEC、ルネサス エレクトロニクスといった日本を代表するエレクトロニクス企業が今年度は巨額の赤字を計上し、危機的な経営状況に陥っています。

 世界で圧倒的な市場シェアを誇った日本のDRAM産業が、1990年代に韓国のSamsungに完敗しました。当時はよく、日本製品は過剰品質なために高コストであると言われました。ところが、現在のエレクトロニクス産業の苦戦の原因は、上記のような一つの理由で説明できるほど単純ではないと思います。

 現在、世界の市場で勝ち残っている企業のビジネスモデルは実に多様化しています。従って、日本企業が負けている理由も多様化しているし、復活のための処方箋も一つではありません。半導体メーカーを例にとってみましょう。

 まず、最先端の微細加工技術を製造する工場に1000億円以上の投資を行い、設計から製造まで手掛ける垂直統合のモデルもいまだに健在です。DRAMやフラッシュ・メモリのSamsung、CPUのIntel、フラッシュ・メモリの東芝などが代表例。

 大容量のメモリや高性能なCPUを実現するためには、20nmサイズまでの微細化が必要なのです。また、微細化に伴う様々な問題をプロセス、デバイスだけでなく回路技術も動員して克服する必要があります。プロセス、デバイス、回路の全ての最適化が必要なため、現在でも、垂直統合型の事業モデルが有効なのです。

 こうした垂直統合型の事業では、製造装置への巨額な投資を必要とするため、メモリやCPUといった単一の製品で膨大な数を売ることができる市場が必要になります。垂直統合モデルでは、巨額な投資をペイするような大きな市場シェアが必要となるため、メモリはSamsungや東芝、CPUではIntelといったように寡占化が進んでいます。

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