ドレッシングや麺つゆなどの多様な食品・食材の新製品開発を支援

 第1号機から第4号機までの味認識装置は、一部海外に輸出した分を含めて「合計400台弱販売できた」と池崎社長はいう。味認識装置によって各食品・食材の味を視覚化した“食譜”はまず、ビールや缶コーヒーなどの新製品開発の有力ツールとして脚場を築き始めた。

 味認識装置は当初、日本酒やワインなどの味の決め手となる成分を調べる解析ツールとして普及し始めた。その普及を加速させたのが、ビールや缶コーヒーなどの新製品開発競争だった。日本国内では四半期の季節ごとに新しい味のビールが開発され、次々に投入されている。また、缶コーヒーの製品競争も激化する一方である。

 「具体的な導入先企業名などは教えられない」としながら、新しく投入するビールなどの味を「地域差や年齢差、男女の差などを考慮し、他社との違いと当該商品の位置づけなどを視覚する有力ツールになった」と説明する。同時に、「新製品の販売促進の際に販売店の方々に、その当該商品の狙いを視覚化して説明する有力ツールになった」という。2007年まで販売した第3号「SA402B」は、約100台を販売し、味認識装置事業の基盤を築いた。

 ビールや缶コーヒーなどの新製品開発である程度の脚場を築いた後に、味覚センサーで測る対象は多様化し、適用する食品・食材が広範囲になっていった。例えば、サラダ向けなどのドレッシング、麺つゆ、スープ、マーガリン、カレールーなどとさまざまな食品・食材の開発に適用された。こうした食品・食材では、売れ筋商品では自社の強みの味を守りながら、飽きない味の中で新味に進化させたり、また、他社との差異化を目指した商品では「驚きを感じる新味を出すための有力ツールになった」という。例えば、「ここ5年間の当該商品の味のトレンドを視覚化し、差異化するツールに利用された」と説明する。

 味認識装置の味覚の計測結果を解析・分析することが、食品・食材開発のポイントになった。このため、計測結果データを解析し、当該食品の味のマーケッティングなどを担うサービス事業を担当する味香り戦略研究所(東京都中央区)を平成16年(2004年)9月に創立した。同社の小柳道啓代表取締役は、インテリジェントセンサーテクノロジーの取締役を務めている一方、池崎社長は味香り戦略研究所の取締役を務めるという“兄弟会社”である。味香り戦略研究所は味覚データベースサービス事業などを展開している。

 同時に、インテリジェントセンサーテクノロジーは味覚の計測結果を解析するための解析用端末パソコンをオプションとして用意し、事業化している。味認識装置という装置販売事業に加えて、味の解析・分析などのソフトウエア事業が重みを増している。