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HOMEスキルアップマネジメントブランドで攻める~日本発、中国へ。世界へ。 > 【ブランドの要諦:その4】「インターナル・ブランディング」--日本企業の最大の強みを活かせ

ブランドで攻める~日本発、中国へ。世界へ。

【ブランドの要諦:その4】「インターナル・ブランディング」--日本企業の最大の強みを活かせ

  • 岡崎 茂生=北京電通
  • 2012/03/26 08:00
  • 1/3ページ

ビジョンを共有し結束する

 3月2日~4日に開催された日本女子プロゴルフツアーの開幕戦「ダイキン・オーキッド・レディス」で新人の斉藤愛璃選手が初優勝を飾り大変話題になりましたが、彼女のウェアの右肩に控えめに「Lenovo」のロゴが入っていたのにお気づきになったでしょうか? 実はレノボ・ジャパンは3月1日に斉藤選手とのスポンサー契約成立を発表していました。そして翌日からのツアー緒戦でいきなり最高の結果が出てしまったわけです。新人とはいえ過去にプロ・トーナメント出場経験もあり一部の間でその美貌から注目を集めていた斉藤選手ですが、将来性を見込んで契約したと思われる選手がいきなり開幕戦で優勝してしまうとは、目の付け所の鋭さに脱帽です。レノボ・ジャパンは様々なブランディング手法を実施中だと思いますが、幸運とは可能性を信じて果敢に攻め続ける人たちに味方するものなのでしょうか。

 さて、前回は「ブランドの未来像を定義する方法」に関して、自分の企業や商品/サービスが投影するブランドイメージを、事業戦略やマーケティング戦略とシンクロさせながら定義するのがコツだとお話ししました。その定義を戦略ごっこに終わらせないためには、ひたすら実践あるのみです。私が20年以上前に学んだビジネススクールで、グローバルな製造企業の幹部がゲストスピーカーとして来校し、自らの経験談を話してくれたことがあります。その中で「戦略が重要なのではない。Excellent execution(卓越した実行力)こそが成功のカギだ」という言葉に大いに共感したのを覚えています。もちろん戦略的思考が必須なのは彼も十分承知の上だったはずですが、ビジネススクールの学生に対して、真実は机上ではなく現場に存在することを忘れてはいけないと釘を刺したかったのだと思います。

 ブランド構築も同様です。自分たちの将来ビジョンをブランド定義に込めたなら、次なるチャレンジはその実行です。ブランドは社会的存在ですから、ブランド構築のターゲットとなるのは皆様の企業や事業を取り巻くすべてのステークホルダー(社員、既存顧客、潜在顧客、取引先企業、投資家、政府関係、マスコミ、新規採用対象者、地域、社会全体)です。その中でも特に顧客企業や消費者へ向けた広告やPRに目が行きがちなのですが、ブランド構築の最初のターゲットはまず自分の仲間たち、すなわち社員や職員の皆さんです。まずもって自らの仲間がブランドの価値観を共有し、ブランドの将来像の信奉者となってそれぞれの持ち場の毎日の仕事の中にブランドの魂を込めていかなければ、外部の人々にブランドの良さを説得することなど到底できません。

 この第1ステージは「Internal branding」と呼ばれ、(1)ブランドブック/ビデオ(2)VI(ビジュアル・アイデンティティ)マニュアル(3)社員行動マニュアル(4)社長メッセージ(5)社内報/イントラネット(6)ブランド研修会などなどの手法がよく使われます。しかし、こうした教科書的な方法論はともすると形骸化し、ブランドプロジェクト推進者たちの自己満足に終わりがちです。

 重要なのは、マニュアルを読んで頭で理解することではなく、「自分たちの仕事の価値は何なのか」「自分たちがここで働く意味は何なのか」「自分たちはどこへ向かって進んでいるのか」などといった会社や事業の根本的な存在意義を簡明な言葉で共有することです。モットーとか合言葉とかスローガンの類です。米国ナイキ本社では「Mantra(ヒンズー教・仏教で「真言」の意)」と呼ぶ人もいました。前回紹介した「Authentic Athletic Performance」を指しています。

 社内スローガンの有名な事例に、高級ホテルチェーン「リッツ・カールトン」で使われている“We are ladies and gentlemen serving ladies and gentlemen.”があります。ここはホテルですからマネージャーから厨房スタッフ、ハウスキーパーまで様々な職種の社員やパートタイムの従業員がいるわけですが、お客様に「リッツ・カールトン」イメージを高めていただくためには、一人ひとりの仕事が高級ホテルブランドのサービス水準を満たすものでなくてはなりません。それを行動規範化しようとすると、各職種ごとに数百ページのマニュアルが必要になるでしょう。実際マニュアルも各種存在するのだと思いますが、リッツ・カールトンのマネジメントは「お客様はすべて紳士・淑女の皆様なのだから、私たちも紳士・淑女たるべく振舞おう」という簡明な宣言を共有することが大事だと考えているのです。それがお客様を満足させるサービス提供につながるからです。毎日様々な状況(多くの場合トラブル)への対応を要求されるホテルサービスでは、従業員の迷いをなくし行動を迅速で臨機応変なものとするために、そしてそれを実行する従業員に誇りを持ってもらうために、こうしたモットーの共有が効果的であることは容易に想像がつきます。

 細かなサービス手順や就業規則は文書化して社員に学ばせることが必要ですが、それのみではお客様の期待を超え、お客様の琴線に触れる仕事はできません。社員一人ひとりが目指すべき価値をプライドを持って実現していくために、社員を鼓舞するモットーや合言葉は欠かすことのできないものだと思います。まあ言ってみれば戦国武将が掲げた旗印みたいなものですね。

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