導入量によってStep1〜10に分ける
導入量によってStep1〜10に分ける
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 日本では、再生可能エネルギーの全量買い取り制度が2012年7月に始まろうとしている。太陽光発電産業は政策に大きく影響されるため、市場の持続性と産業の活性化を重視して制度設計する必要があるだろう。そこで今回は、太陽光発電の制度設計の参考のために、米国カリフォルニア州の太陽光発電補助プログラムの特徴を、日本の現在の制度と比較しながら紹介する。

 カリフォルニア州の太陽光発電補助プログラムは、「California Solar Initiative (CSI)」と呼ばれ、2006~2016年までに1.9GWの太陽光発電システムの設置を目標としている。もう一つの大きな目標は、その期間内に太陽光発電産業を補助金に頼らない自立した産業に育てることである。

 このプログラムの始まる前、米国では毎年の予算と補助金額が決まっていた。このため、「需要(補助金申請)が急増した場合、予定していた時期よりも早く予算が終わってしまう」「補助金がなくなったら、市場が冷え込んでしまった」という課題があった。現在の日本の制度でも、この1年ほどのモジュール価格の暴落で導入コストが大きく低下したにも関わらず、2011年5月に補助金を申請した家庭と、2012年になって申請した家庭のどちらも同じ補助金額になってしまうという課題がある。

 そこでCSIでは、需要が増すと補助金額が低下する仕組みを取り入れた。導入量によってStep1~10まで分け、それに応じた補助金額を設定している。景気や価格の影響で需要が増えない場合は補助金の削減ペースが遅くなり、需要が増えれば補助金が急速に減らされる。これにより、資金を効率よく使って、より多くの家庭や企業に太陽光発電システムを広めることができる。

 CSIは住宅用のみならず、商業用や産業用、公共用なども、上限1MWまで対象となっている。補助金の支払い方法は二種類ある。一つは、システム設置時にkW当たりに対して一括で払われるもの。もう一つは、設置後5年間にわたって発電量に対して支払われるものである。

 前者は日本の「住宅用太陽光発電導入支援復興対策費補助金」制度に似ているが、実態は大きく異なる。補助金の効率運用と、施工業者に最適なシステム設計・施工を促すため、補助金の金額がシステムの設置形態によって変わるようになっている。太陽電池モジュールの種類と数だけでなく、システムの設置方位や設置傾斜角度、影の影響などが、最終的な補助金に反映されるのである。日本の場合は、補助金の金額は一律になっている。

 後者は、日本の制度で言えば「全量買い取り制度」をイメージしてもらえればいいだろう。ただし、設置する施設の年間消費電力量を上回る規模のシステムを付けられない点が日本と異なる。

 なぜ二つの支払い方法があるのだろうか。本来ならば発電量での支払いに統一すべきだが、システムを設置した直後にまとまったお金が必要なユーザーには、一括の補助金が適しているからである。現在は、30kW以上のシステムは、発電量に対しての補助金のみとなっている。ちなみに私の住むサンディエゴでは、住宅用はStep9の0.25米ドル/W、非住宅用はStep8の0.35米ドル/Wまたは0.05米ドル/kWh/5年間の補助金になっている。

CSIプログラム個別申込受付、交付決定公開データー・ベース
CSIプログラム個別申込受付、交付決定公開データー・ベース
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