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東日本大震災から1年、日台間ICT産業バリューチェーンの国際分業を牽引――「バックアップ基地」「産業クラスタ」「ECFA」の3本柱で

張 超群=工研院IEK 副主任
2012/03/06 21:10
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 東日本大震災から丸1年を迎え、日本政府をはじめ多数の民間研究機関は、マクロ経済面から見た2012 年の日本の経済成長率について、前年比でやや上昇して1.7~2%に回復するだろうという見通しを示している。日本のICT(information and communication technology)関連産業のサプライチェーンの回復状況も予想以上に順調である。生産・輸出活動ともに上向いてきていることを受け、日本政府はこのほど2012年を「日本再生元年」に位置付けると発表した。

 ICT産業の発展という観点で考えると、2011年3月の東日本大震災、それにともなう津波、および福島第一原子力発電所の事故という3つの悲惨な災害が重なったことで、電子業界や材料業界でも日本国内にあらゆる生産基地を集中させている現状を懸念し始めている。将来的には、第2の生産基地を海外に移設してリスクを分散させようと考え始めているという。

 一方、台湾のICT産業バリューチェーンへの影響という点では、川上・川下メーカーとも、万が一の事態に備えて、原料の在庫高や代替供給業者を確保するなどの対応策を既に講じていた。しかし、川上分野における一部の原材料や重要部品は大手メーカーの寡占状態にあり、しかもそのほとんどが日本で生産・供給されていた。このため、東日本大震災は、台湾の電子部品や川下分野のICT製品の生産・供給に大きな打撃を与えることになった。そこで、台湾でもこの先の運営リスクを最小限に抑えられるように、川上分野における重要材料の製造技術を掌握することが急務になっている。

 こうした動きとは別に、台湾は先頃、中国との間で「両岸経済協力枠組協定(ECFA)」を締結した。これを契機に、日本は台湾を生産活動のバックアップ基地に位置付け、中国市場進出の足場とすることも考えられる。このように、日台双方の産業において相互補完性と相互協力性があり、リスクを分担することでWin-Winの関係を作り出せるだろう。

1. 重要部品と川上分野の材料が日台協力促進の火付け役

 今回の東日本大震災で、台湾の産業界はサプライチェーン寸断の危機に陥った。過去に当工業研究院が行った「バリューチェーン移転」に関する研究でも、「BT基板(BT-like resin)、CMPスラリー、アンダーフィル(underfill)などの重要部品・材料こそ、この先の日台産業の相互協力を強化する分野になる」と指摘している。その内容について、以下に述べる。

 まず、BT基板のバリューチェーンについて。電子製品の多機能化や薄型・軽量化が進む中で、ロジックチップ、アナログチップ(RFチップ、電源管理チップ)、センサー(ジャイロスコープ、加速度計、磁力計、高度計、近接センサー、イメージセンサー)といったそれぞれ異なる機能を持つデバイスを統合する役割が、BT基板に求められる。パッケージング(封止)技術は、様々な異質チップをICモジュールに統合することを目指した開発が進む。例えば、SiP(system in package:SiP)モジュール、マルチチップ・モジュール(multi-chip module:MCM)、MCP(multi-chip package)、スタック・ダイ(stack die)パッケージ、パッケージ・オン・パッケージ(package on package:PoP)、パッケージ・イン・パッケージ(package in package:PiP)などの技術である。

 3次元 ICの製造にもパッケージング技術の一つであるSiPモジュールが使われている。その応用範囲は実に広い。現段階では多くがCMOSイメージセンサーに用いられているが、将来的には各種異質なICの集積に応用されることが見込まれており、その市場規模は2015年には41億米ドルに達すると予測されている(図1)。3次元ICパッケージングはまさに小型化、高効率化の要求を満たすものである。このパッケージング工程の後続工程である高密度パッケージング工程には、さらに優れた性能を持つIC基板を用いなければ、従来の機能仕様を満たすことができない。このため、今後IC基板を開発する上では、ハイエンドチップ基板の材料だけでコストの半分以上を占めることから、ICパッケージング技術と基板材料の開発の重要性が増している。

図1
図1 3次元IC最先端パッケージング技術開発の商機
工研院IEKのデータ(2012年2月)
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