エネルギー
 

定置用蓄電システムの価格破壊は起きるのか

佐伯 真也=日経エレクトロニクス
2012/03/05 10:00
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 住宅のエネルギー管理システムである「HEMS(home energy management system)」。日本では事業化はあまり進んでいませんでしたが、1年前の東日本大震災やその後の計画停電、節電要請などを経て、企業の新規参入が相次いでいます(詳細は、日経エレクトロニクス2012年3月5日号特集「新・電力システムに懸ける」をご一読願います)。

 HEMSを高機能化していく上で、カギを握るのが定置用蓄電システムです。夜間に充電した電力を昼間の時間帯に使うことでピーク・シフトを実現できる他、停電などで電力系統からの電力供給が遮断された際に太陽光発電システムなどと連携して自立運転が可能になります。

 こうした利点のある蓄電システムですが、本格的な普及に向けた課題の一つとされるのが価格の高さです。現状では、1kWh当たりの価格が50万円というものがほとんど。住宅への導入に踏み切りやすい価格とは言い難い状況です。

Liイオン2次電池採用の低価格品が続々

 ただし2012年以降、各社が蓄電システムの低価格化に本腰を入れ始めているため、こうした状況は徐々に改善されていきそうです。

 例えば、パナソニックは2012年2月23日、容量が4.65kWhの蓄電池「Liイオン2次電池ユニット」を121万8000円で、蓄電池と太陽電池のパワー・コンディショナ機能を一体化した「パワーステーション」を67万2000円で発売することを発表しました(Tech-On!の関連記事1)。蓄電システムとしての価格を、(Liイオン2次電池ユニットの価格)+(パワーステーションの価格)×1/3~1/2としてやや強引に見積ると、約144万~155万円。1kWh当たりの価格は約31~34万円とみられます。

 さらなる低価格化を打ち出しているのがNEC。2012年春に、容量が6kWhのLiイオン2次電池を搭載した蓄電システムを、100万円台前半で発売することを明らかにしています。1kWh当たりの価格は17万円弱となる計算です。同社は、日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」向けの電極材料を量産しており、「部材の共通化を進めることで低コスト化を実現した」といいます。

Samsung SDI社製の電池が登場

 こうした中、その価格に注目を集めるのが、ニチコンが開発を手掛けた蓄電システムです。Liイオン2次電池を使った家庭用蓄電池システムとしては、国内で最も高容量となる7.1kWhを搭載するのが特徴です(Tech-On!の関連記事2)。
 
 この蓄電システムが注目を集める理由の一つが、韓国Samsung SDI 社のLiイオン2次電池を採用したこと。ニチコンは、採用理由について「あらゆるLiイオン2次電池を、信頼性と寿命、コストの観点で評価したところ、Samsung SDI社の製品が最も優れていた」と説明します。Samsung SDI社がLiイオン2次電池のトップ・メーカーであることは認識していましたが、数多くの設備の充放電システムを手掛けてきたニチコンの担当者に高評価を得ていることに少々驚きました。

 本題である蓄電システムの価格ですが、販売を手掛けるのはニチコンではなく京セラです。ニチコンの蓄電システムと京セラの太陽光発電システムと組み合わせたシステムとして提供する他、太陽電池を既に設置しているユーザーには蓄電システムを販売する計画です。発売は2012年夏を予定していますが、「価格については回答できない」(京セラ)としています。

 とはいえ、Samsungグループがこれまで、半導体や液晶パネルを中心に数多くの部品で“価格破壊”を起こしてきたのは事実。今後、Samsung SDI社が定置用蓄電システムの世界でどのような価格攻勢をかけてくるのか。まずは、京セラの販売価格に注目です。

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