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HOMEエレクトロニクス機器エディターズ・ノート > 遊びの会社と、背徳の香りと

エディターズ・ノート

遊びの会社と、背徳の香りと

  • 高橋 史忠=日経エレクトロニクス
  • 2012/02/20 09:00
  • 1/2ページ

 面白いなぁ。

 なかなか興味深い内容の技術発表会。久しぶりにワクワクと未来を感じた次第です。

 1月下旬にソニーが開催した、デジタル・カメラ用の撮像素子である裏面照射型CMOSセンサの新技術についての記者会見。同社 業務執行役員 EVPで半導体事業本部長の斎藤端氏は、力強く宣言しました。

「技術力でソニーの復活に邁進する」――。

 世に吹きすさぶ、ソニーへの逆風。なぜ、ソニーは輝きを失ったのか。もう再生できないのか。日本のエレクトロニクス業界の象徴だけに、飛び交う同社への論評はそのまま業界全体へと跳ね返ります。折しも国内半導体大手の合従連衡話がささやかれ、世界と戦うための業界再編が再び本格化しそうな現状が、その風の色をさらに濃くしている印象です。

 そんな中、ソニーが発表した技術は、裏面照射型CMOSセンサの裏側に信号処理などの論理回路を集積したLSIを3次元積層するもの(関連記事はこちら)。目指すのは、従来は外付けしていた画像処理回路とセンサを一体化した「1パッケージ・カメラ」の実現です。この技術で狙うのはスマートフォン分野。カメラ専用機に比べて撮影機能に工夫を加える余地が少ない同分野で、新たな機能強化の方向性を示しました。スマートフォン向けのCMOSセンサでソニーは出遅れているという背景があるとはいえ、カメラの将来を変える可能性を秘めた意欲的な技術です。

一眼レフ並みのカメラを備えたスマホ

 発表会でソニーは、未来を語りました。積層する信号処理LSIの製造プロセスが32nmルールになれば、一眼レフ・カメラが搭載しているものと同等の規模の信号処理LSIを、スマートフォンで主流のサイズのセンサに張り付けられると。もちろん、チップ・サイズを比較しただけの単純な予測で、回路が発する熱や雑音の影響など解決すべき技術課題は多い。カメラでは光学系も重要パーツですから、実現は一足飛びではありません。でも、「一眼レフ・カメラ並みの画像処理機能を備えたスマートフォンが、そう遠くない将来に登場する」という話題は、技術の夢を感じさせます。

 この技術を「面白い」と感じた理由は、ちょうどミラーレス・カメラの特集記事に関連した話題を取材していたことも大きかったのでしょう(『日経エレクトロニクス』、2012年2月20号の特集記事「ミラーレスはパンドラの箱」の紹介はこちら)。 

 日本発のミラーレス・カメラの普及は、カメラという機器、写真という文化に大きなインパクトを与えそう。一眼レフ・カメラの心臓部である光学式ファインダーやミラー・ボックスを取り去った構造は、カメラ開発の自由度を大きく高めるからです。

 重要なのは、技術的な自由度だけではなく、心理的な自由度。今まで、何となく「一眼レフ・カメラって、すごいよね」と感じてきた神話が崩壊すると言ったら、言い過ぎでしょうか。カメラ・メーカーのノウハウの塊だった光学系がなくなったことで、「今まで思ってきたカメラとは、少しぐらい違うもんでもいいんじゃね」的な発想が広がることは想像に難くありません。

 デジタル・カメラの先駆け「QV-10」の時代からカシオ計算機で同事業に携わってきた、同社の執行役員でQV事業部長の中山仁氏の言を借りれば、「いずれ、カメラという機器は、今のカメラの概念とは全く違うものになるんじゃないですかね」ということ。それを支えるのは、過去のしがらみに縛られない、一眼レフの呪縛から解き放たれた「やんちゃ」な心でしょう。

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