中国では春節(旧正月)前が一年のうちでも有数の生活・デジタル家電の販売最盛期だ。春節前にボーナスを支給する官公庁や企業が多いほか、帰省の際に故郷の両親に家電を新調してプレゼントする人が多いためである。

 こうした中、江蘇省を中心として全国に200店舗以上を展開する家電量販中堅のFivestar(五星電器)が1月初旬、2012年の春節(旧正月)前に買い物に同社の店舗を訪れた約1万人を対象に行った消費動向調査を公表した。「液晶テレビの売れ筋はスマート3Dテレビでサイズは32~37型、40~42型」、「携帯電話の需要の92%はスマートフォンで、2000元(1元=約12.3円)以下のローエンド、4000元以上のハイエンドモデルが人気」、「春節前に家電を買う理由として今年は『新婚の新居のため』と『正月だから自分に対するご褒美として』が目立った」など、なかなか興味深い調査結果が出ている。
 
 その五星電器が今年の春節商戦向け重点商品としてLEDテレビやスマートフォン、ノートPCと並んで挙げたのがデジタルカメラだ。そして、デジタルカメラの中で最も高い需要を見せたのは、デジタル一眼だったとしている。

 デジタル一眼の人気については、北京の日刊紙『経済日報』(1月29日付)も、中国政府の商務部が春節6日間の消費について調べた結果としても伝えている。それによると、今年の春節に人気を集めた家電製品は3Dテレビ、節水型洗濯機、そしてデジタル一眼だったという。

 残念なのは、五星電器、商務部の調査とも、単に「デジタル一眼」(中国語で「単反」)としているだけで、ミラー付き、ミラーレスの内訳にまでは言及していない。ただここ2~3年で、上海では見るからに重そうなデジタル一眼を首からぶら下げている老若男女や、ミラーレス一眼片手に街を歩く「カメラ女子」の姿を見かけることが本当に増えた。

タイトル
地下鉄中山公園駅の構内。オリンパスがミラーレス一眼「PEN」シリーズの広告を大々的に展開していた

 経済水準が底上げされたことを背景に、「旅行に出かけてキレイな写真を撮る」というのがここ数年続いている中国のトレンドだ。こうした状況を背景に、上海最大の書店「上海書城」の福州路本店では写真関連の売り場を大幅に拡大し、キヤノン、ニコンのデジタル一眼のムックや、写真の撮り方の解説書を所狭しと並べるようになった。日本のある出版関係者は「日本の写真雑誌を中国で出したいという引き合いが増えている」と話す。広告媒体として人気のある地下鉄駅構内では今、オリンパスやニコンがミラーレス一眼の広告を大々的に展開している。