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新技術が続々と導入される、ディスプレイの1年

佐伯 真也=日経エレクトロニクス
2012/02/08 10:00
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 2012年が始まってから既に1カ月以上がたちましたが、ディスプレイ業界は新技術の話題に沸いています。現在、最も注目を集めるのが有機EL。2012年1月に米国ラスベガスで開催された「2012 International CES」で、韓国のSamsung Electronics社とLG Electronics社が55型の有機ELテレビを発表したのは記憶に新しいところ(Tech-On!の関連記事1)。それぞれのグループ会社である韓国のSamsung Mobile Display社とLG Display社がスムーズな量産導入を図れるかは、ディスプレイ業界の最大の関心事といえるでしょう。

 有機ELについては、中小型分野での話題も事欠きません。Samsung Mobile Display社はフレキシブル技術や300ppiを超えるような高精細化技術を導入するもよう(日経エレクトロニクス 2012年12月12日号の記事紹介ページ)。国内メーカーでは、2012年春に発足するジャパンディスプレイで代表取締役社長に就任予定の大塚周一氏が本誌の取材に対して、「有機ELをもう一度、実用化に向けた議論のテーブルに乗せる」と語っています(日経エレクトロニクス 2012年1月23日号の記事紹介ページ)。同社は、2012年に有機ELパネルを量産開始するわけではありませんが、技術開発は間違いなく加速しそうです。

 一方、液晶/有機ELパネルの駆動素子(TFT)に目を向けると、酸化物半導体TFTの量産導入が始まります。液晶パネルでは、シャープが2012年2月1日の決算発表会で、亀山第2工場での量産立ち上げが当初の計画よりも2カ月遅れたことを発表したものの、先陣を切る形で量産に踏み切ります(Tech-On!の関連記事2)。さらに同社は、堺工場での量産を検討していく考えを明らかにしました(Tech-On!の関連記事3)。有機ELでは、LG Display社が、先に紹介した55型有機ELパネルの駆動素子に酸化物半導体TFTを用いています(Tech-On!の関連記事4)。

 低温多結晶Si TFTを使った中小型の液晶パネルでは、500ppiに迫る高精細化やタッチ・センサ機能を内蔵した製品の導入が進む予定です。テレビ向けの大型液晶パネルでは、「4K×2K」の導入が本格化します。最近の発表などをざっと紹介しただけでも、ディスプレイ技術の話題は尽きないだけに、2012年は新技術の話題に事欠かない1年になりそうです。

Crystal LEDはどうなる

 もっとも、重要なのは新技術を導入したことで、ユーザーに新たな価値を提供できるかどうか。冒頭に紹介した韓国メーカー2社の有機ELテレビは、自発光表示デバイスならではの表示性能の高さだけでなく、薄型化によるデザイン性を訴求しています。液晶テレビの価格が想像以上に下落する中で、両社の戦略が奏功するかどうかは、懐疑的な声があるのは事実です。

 2012年にこうした新技術が導入されることで、追いかける立場の競合技術は苦しい立場に陥りかねません。ソニーがCESで披露した55型の自発光型ディスプレイ「Crystal LED」もその一つといえそうです(Tech-On!の関連記事5)。Crystal LEDは、RGB3色のLEDをそれぞれ207万3600個ずつ使用することで、フルHDのカラー表示を実現するもの。CES会場で同社の説明員は、マザー・ガラスが必要な液晶パネルや有機ELパネルに比べて大画面化を図りやすいことを、利点に挙げていました。

 その一方で、合計約620万個のLEDを使用するため、テレビに求められるコストで量産できるのかという意見も耳にします。かなり乱暴な計算になりますが、LED1個の価格が1円でも約620万円、10銭でも約62万円になります。LEDのコストに依存する可能性は高く、テレビ用途での実用化に向けては乗り越えるべきハードルは高そうです。

 とはいえ、2012年4月1日付でソニーの代表執行役 社長 兼 CEOに就任する予定の平井一夫氏は、2月2日に開催した記者会見で、Crystal LEDや有機ELなどソニー独自の技術を発揮できる点には集中的に投資し、商品力を強化していくことを明らかにしました(Tech-On!の関連記事6)。今後、平井氏が同技術をどのような製品に搭載していくのか注目です。

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