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エディターズ・ノート

「ソニー+オリンパス」が実現したら…

  • 小谷 卓也=日経エレクトロニクス 兼 デジタルヘルスOnline
  • 2012/01/27 10:11
  • 1/1ページ

 経営再建中のオリンパス。医療用内視鏡の分野で圧倒的な強さを誇る同社をめぐり、資本・業務提携先として複数の企業の名前が挙がっている。中でも、有力候補の1社とされているのが、医療・ヘルスケア関連事業の強化を目指すソニーだ。

 もっともソニーは既に、医療関連事業に取り組んできている。例えば、医療向けの記録装置やプリンターなどを手掛けている他、2011年11月には医療用の有機ELモニターも発売した(Tech-On!関連記事1)。ただしこれらは、言わば医療システムとしての“周辺機器”。診断や治療といった、医療の“本丸”に向けた機器ではなかった。

ソニーのコア技術を生かす

 一方でソニーは最近、本丸へと近付こうとする動きも徐々に見せ始めている。

 例えば、2011年9月には、同社の米国法人を通して、医療用の診断機器開発を手掛ける米国のベンチャー企業、Micronics社を買収。次世代診断機器の開発と事業化に向けた取り組みを加速すると発表した(Tech-On!関連記事2)。さらに同年10月には、東京医科歯科大学と共同で、個々の細胞を標識物質なしに識別する装置「誘電スペクトロサイトメーター」を開発。同装置を利用して、種類の異なるがん細胞の識別に成功したと発表した(Tech-On!関連記事3)。

 こうした取り組みでソニーが狙うのは、同社のコア技術を生かした差異化である。筆者が2011年6月に同社にインタビューした際には、「(ソニーの)世界一の光ディスク技術を、バイオ・メディカルに生かす」(Sony DADC Austria社 Vice President, BioSciences, Head of Business DevelopmentのHarald Kraushaar氏)と語っていた(関連ページ)。

 実際、前述の誘電スペクトロサイトメーターのような革新技術の開発が実現したのは、光ディスク技術などの蓄積があったからに他ならない。仮に、オリンパスとの資本・業務提携が実現すれば同様に、ソニーのイメージ・センサなどのコア技術を生かした次世代内視鏡技術の開発に結び付く可能性があるのは確かだ。

ムーブメントが加速

 しかし、仮に「ソニー+オリンパス」が実現した場合のインパクトは、それだけにとどまらないだろう。特に注目したいのが、周辺のエレクトロニクス関連企業に対する“ムーブメント”の波及効果である。

 最近では、「医療×ものづくり」の分野を国内の基幹産業にしようとする政府の動きが活発になっている。例えば、2011年1月には、内閣官房に「医療イノベーション推進室」が設置され、国内のものづくり力を生かした次世代医療技術の開発や事業化を推進する取り組みが進められている(Tech-On!関連記事4)。同年7月、経済産業省に「ヘルスケア産業課」が新設されたのにも、同様の狙いがある(Tech-On!関連記事5)。さらに、数多くの機器メーカーや電子部品メーカーなどが、医療分野への参入を模索し始めていることは、ご存じの通りだ。

 国内を代表するエレクトロニクス企業の1社であるソニーが大きく動きだすことになれば、こうしたムーブメントが一気に加速することが考えられる。ライバルとなる機器メーカー、そしてサプライヤーである電子部品メーカーなどの、いわゆる“横”と“縦”の両面に、大きな影響を及ぼすだろう。

 とりわけ、このうち“縦”に当たるソニーのサプライヤーは、数年前に比べてかなり絞り込まれたとはいえ、数多く存在する。その中には、これまで医療分野に関心を持ちつつも、同業界にまったく接点がなかった企業は少なくないはずだ。

 医療業界は、エレクトロニクス業界とは異なる文化や“言葉”が存在し、規制なども大きくかかわってくる。そこに電子部品メーカーなどが単独で乗り込んでいくには、高いハードルが存在したのは事実だ。もし、既に取り引きがあるソニーを介して接点を持てるようになるならば、そのハードルが低くなることは想像に難くない。

「使わない手はない」と田中耕一氏

 ノーベル化学賞受賞者で、医療イノベーション推進室の特別顧問も務める島津製作所 フェローの田中耕一氏は、2012年1月に実施した本誌のインタビューにおいて、「エレクトロニクス技術は、これまでの医療をより高精度に、より高感度に、より高速にできる。使わない手はない」と訴える(同氏のインタビューは、日経エレクトロニクス2012年2月6日号の特集記事「がんと闘う ~超早期発見へ、テクノロジーで導く~」に掲載予定)。

 韓国では今、Samsung Electronics社やLG Electronics社が、医療・ヘルスケア分野への取り組みを加速させている。例えばSamsung社は、2011年2月に超音波診断装置の大手メーカーだったMedison社を買収して系列化。Samsung社のIT技術などを融合させた次世代品の開発を進める考えだ。2011年11月にドイツで開催された医療展示会では、Samsung Medison社として初めての出展を果たした(Tech-On!関連記事6)。さらに、血液分析装置の独自開発なども進めている。

 国内で今、盛り上がり始めている「医療×ものづくり」のムーブメント。それを、実りある果実に育てるために残された時間は、決して長くないのかもしれない。

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