(b)短期・中期では日本メーカーのニーズに合わせ、カーエレ・システムとデバイスの提携を契機に

 日本では、2011年3月11日の東日本大震災以降、環境保護やエネルギーへの意識の高まりとともに、バックアップ基地としてアジアをより重視するようになっている。中国や日本と長年提携してきた台湾は、カー・エレクトロニクス産業におけるさらなる提携を期待している。提携するシステムと技術項目として、以下が考えられる。

1. 先進運転支援システム:商機と実用性を備えるシステムで、死角検知システム、後退/駐車画像ガイダンス・システム、車線逸脱警告システム、自動駐車システム、自動車用イメージ・センサなどを含む。

2. 商業用運輸部門管理:車両使用管理、車両派遣、車両燃料消耗管理、車両ポジション、追跡システムなど。

3. 電気自動車電力電子システム:モーター駆動制御システム、インバータ、電池管理システム、動力の制御と管理システムなど。

4. 車載装置・システム:カーナビ・システム、車検通知システム、車用照明システム、自動車用メーター表示システムなど、無線通信とGPS技術により、リアルタイムで交通状況や天気情報、渋滞時迂回コース情報を提供するほか、運転手の故意な回り道を避けられるように、乗客に現在位置を知らせるなど。国際航電、Garmin、Mio、研華、康訊、中華電信、台湾大哥大、遠伝電信、裕隆(華創)など、台湾の有名ブランド会社が関連するサービスを提供している。

5. 新エネルギー車・電気管理システム:台湾は車両の電気管理システムにおいて一定の成果を上げており、台達電、台全電機、光陽機車、三陽機車、中華自動車がかつて電気管理システムを開発している。台積電、京元電、鴻海など国内のICメーカーも積極的に新エネルギー車用IC製品の開発を検討しており、台達電、華創、富元などは車用電気モジュールとシステムの関連技術を開発している。

(c)中長期の目標は、車載ICTで全面的に中国車聯網へ進出

 2011年6月「2011両岸物聯網商機フォーラム」が台湾・台北で開催され、中国から北京、上海、重慶、広東、山東、福建、成都、浙江の政府関係者および業者が参加した。上海市経済と情報化委員会、科学技術委員会、山東省政府参事室、福建省信息化局、広東省政府物聯網行動計画のほか、中国聯合網路通信、フランステレコム北京研究開発センター、重慶数位城市科技などのアプリケーション企業も参加した。高度道路交通システムは主に車聯網(クルマの情報ネットワーク)を応用し、上海の車両追跡、空車管理、過程監視などが物聯網の商機に役立つ同時に、電子読み取り器、個人ナビゲーション設備がうまく応用できる。上海では車聯網の整備を利用して空車管理、手配などさらなるサービスと連結させている。

 台湾はかつてRFID、WSNからi236計画、知恵台湾計画までの実施を通して、物聯網応用産業(物流の情報ネットワークを応用した産業)における経験と発展の底力を蓄えてきた。高度道路交通システム、車両画像識別、交通状況データ収集、天候検知器、施工車両GPS、都市交通管理センターのデータなどを通して、迂回情報、走行時間を通行者と交通管理センターへ通知することができる。物聯網(物流の情報ネットワーク)の技術において、台湾はかなりの基礎を築いており、これこそ両岸の車聯網(クルマの情報ネットワーク)における商機創出につながっている。

 中国の自動車市場の競争は激戦化し、同グレードの車種は差異化が求められている。台湾のカー・エレクトロニクス産業は、先進運転支援システム、自動車用マルチメディア娯楽製品で注目を浴びており、華創車電、永彰機電、納智捷、環隆電、敦揚、同致、輝創、車王電、建生、台達電などの台湾企業が価格性能比において優れている。

 ECFA調印後、自動車部品の一部がアーリー・ハーベスト項目リストに組み入れられ、次期リストも期待されている。その中で、2011 年、台湾の車載ICT企業は積極的に中国自動車メーカーと交流、商談を行い、共同でカー・エレクトロニクス産業の発展を促進した。台湾には技術力と製品統合能力があり、サブシステム製品とモジュール製品の供給能力も有している。膨大なシステム・プラットフォームと潜在顧客群を持つ中国と提携すれば、海外市場の開拓を有利に導くことができる。

補足資料:台湾カー・エレクトロニクス関連企業の略称と正式名称
本文中の略称名の正式名(漢字名および英語名)を下記に記す。
[画像のクリックで拡大表示]