こうした自動車用省エネ、経済、環境保護、多機能などの新サービスの発展に取り組む台湾の電子とICT業者は、今後のエコロジーのトレンドに対応していくために、カー・エレクトロニクス産業において中国および日本との提携の機会を探っている。

(カー・エレクトロニクスのサプライ・チェーンにおける台湾の関連メーカーに関しては、表1を参照。また、台湾カー・エレクトロニクス関連企業の略称と正式名称に関しては、文末の表を参照)

表1 世界のカー・エレクトロニクス産業のサプライ・チェーンにおける台湾メーカー
出所:工業技術研究院IEK(2011年12月)
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(3)台湾自動車用部品の中国の関税率はECFA締結後ゼロに、両岸提携を促進

 中国は、欧米型、日韓型、中国型のそれぞれのサプライ・チェーンにより自動車部品を各国に供給し、またそれぞれの完成車メーカーとつながりを持っている。欧米型サプライ・チェーンでは、部品メーカーの独立性は強いが、完成自動車メーカーと密接な戦略的協力関係を維持している。日韓型サプライ・チェーンでは、部品メーカーは完成車メーカーに従属し、独立性が低く、単一の自動車メーカーと着実に取引を続けている。中国型サプライ・チェーンでは、完成車メーカーと部品サプライヤの関係が固定しておらず、部品メーカーは劣勢である。

 中国には莫大な自動車消費市場があるが、国産品は低価格で、技術的付加価値も小さい。競争の激しい市場では、国際的な大手メーカーさえも低コスト戦略を展開しており、日本のトヨタなどは中国市場向けに百万円クラスの車種を開発している。最近では1年に53回の値下げを記録し、製品の品質と差異化が重要になっている。国産製品も低価格だけでは既に優位性はなく、今後は価格と品質向上のバランスが必要となっている。

 一方、台湾は、欧・米・日の自動車メーカーと提携して40年以上になり、納期と品質の安定性も国際大手に認められている。台湾の自動車市場は年間わずか35万台ほどの規模だが、世界の全ての車種がそろっている。台湾の自動車保有状況は3.46人に1台である。また、台湾はICT使用率が高く、台北市では全域でWiFiによるインターネット接続が可能である。走行する環境も変化に富む。台湾人はクルマを選ぶ際のこだわりが大きく、国内ブランド会社の裕隆納智捷であれ、海外のトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、三菱自動車、GM社、Ford社、ドイツDaimler社のMercedes-Benzブランド、ドイツBMW社であれ、カー・エレクトロニクス製品の強化を求められる。