(b)新エネルギー自動車産業の整備、車聯網計画などによるカーエレ市場発展の促進

 2009年の自動車購入奨励政策に続き、中国は2010年にも購入税減免、農村の自動車購入普及、買い替え購入の3項目をさらに導入した。2011年は、新エネルギー電気自動車を対象として、新車購入が奨励された。新エネルギー車が主に省エネと新エネルギー車モデル・プロジェクトに使用され、大都市・中都市ではハイブリッド車、純電気自動車、燃料電池自動車などの省エネ・新エネルギー車の普及のために政府から補助金が支給された。

 県レベル以上の都市の地方自治体は、公共交通機関、レンタル、公務、環境衛生、郵便、空港などに新エネルギー自動車を優先的に使用する計画を導入した。また、電気自動車の高速充電ネットワーク、駐車場などの公共スペースにおける共用充電施設を設けた。

 2010~2011年、中国は「二十都市千台計画」として、五つの都市を選定し、個人の車購入を補助した。北京、重慶、長春、武漢、深センなどでは地方政策などによる奨励が行われた。深センは、補助金5万人民元の支給を発表した。重慶市では、2011年に長安汽車が新エネルギー車1100台を発売し、このうち100台を自家用車とした。重慶市は、3万6000人民元の補助金を支給し、1台につき3年分の通行料合計6900人民元の免除を提供した。このような中国政府の新エネルギー車発展政策により、カー・エレクトロニクス製品市場が成長している。

 また、第12次5カ年計画の中の「新エネルギー車産業、新エネルギー産業、最新情報技術」は、カー・エレクトロニクス産業の発展を強化するものである。「車聯網」(クルマの情報ネットワーク)が中国重大プロジェクトに組み込まれ、自動車電子、ICT、ソフトウエア・ソリューションが集中的に支援され、資金が支給されている。中国では第12次5カ年計画、工業情報化部の産業企画、技術標準により、車聯網と車載情報サービス産業の全面的発展が促進されている。

(2)カーエレ産業に見られる台湾産業の特長と優位性

 台湾の自動車部品メーカーはかつて、中華汽車(台湾メーカー)と東南汽車(中国の自動車メーカー)、裕隆汽車(台湾メーカー)と風神汽車(中国の自動車メーカー)のように、完成自動車業者とともに中国に工場を設置した。その後、日系のトヨタ自動やホンダ、米国系のFord Motor社やGeneral Motors(GM)社に加入した部品メーカーも多い。また、欧州、米国、日本、中国などの自動車メーカーとの提携も経験してきた。六和機械、東陽、正新、大億、永彰、松川、全興、士電、台全、建生、和大などの台湾の部品メーカーも、中国での長年の提携経験を有している。

 一方、台湾の有力エレクトロニクス企業も国際的な自動車メーカーやカー・エレクトロニクスのメーカーとの提携関係を築いてきた。台達電、光宝集団(敦陽)、日月光集団(環隆電)、車王電、系統科技、広達集団(鼎天)、群聯集団(群華)、聯電集団(丞信)、奇美精密、台積電、京元電、盛群、峰鼎、華晶科、永彰機電、華夏科技、同致電子、徽創、中華電信、遠伝などが、カー・エレクトロニクス製品で関連業者と提携してきたほか、国際自動車業者に認定された業者も多い。

 ここ数年、台湾のインテリジェント・カーは、カーナビ製品から、先進運転支援システム(ADAS)まで搭載しており、車線逸脱警告システム(LDWS)、死角検知システム(BSD)、車線維持システム(LKS)、居眠り運転防止システム(DDS)、ヘッドランプ・コントロール・システム (AFS)、駐車ガイダンス・システム(PGS)などの電子情報通信システムも、台湾のカー・エレクトロニクス製品とサービスの発展を促進している。