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エディターズ・ノート

ロボット掃除機「ルンバ」が高齢者にウケている意外な理由

  • 大森 敏行=日経エレクトロニクス
  • 2012/01/23 10:25
  • 1/1ページ

 「安売りから脱却したければ『安売りからの脱却』を目的としてはならない」。日経エレクトロニクス2012年1月23日号では、このことを主張した特集「脱安売りの極意」を根津記者と共に執筆しました。

 冒頭の文章は何やら禅問答めいていますが、難しいことを言っているわけではありません。「目先の損得よりも、顧客に提供する価値を優先する者が結局は成功する」という、古来、商売の王道とされている考え方の表現を変えただけです。仕事をしていると、ついつい目先の利益にとらわれたり、従来の仕事のやり方に流されたりしがちです。そんなときに「自分は顧客に何を提供できるのか」という基本を忘れないようにしよう、ということです。

 この特集の出発点になったのは、私が2011年9月に執筆した「価格を上げるという選択肢」というNEブログでした。このブログの最後に「高くても買ってもらえる製品をメーカーが開発するにはどうすればいいか、引き続き考えていきたいと思っています」と書きました。その回答の一つとして企画したのが、今回の特集です。

 特集に向けては「価格が高めでありながら消費者に支持されている製品」を中心に取材しました。こうした製品の取材に行くたびに「個人的に購入したい(もしくは家族のために購入したい)」という気になって困りました。それだけ魅力的な製品が多かったのです。

人がすべきではない家事

 そんな製品の一つが、皆さんご存じのロボット掃除機「ルンバ」です。最近はテレビCMも流され、すっかり認知度が上がりました。私の身近にも愛用者がちらほら出てくるようになっています。

 日本でルンバを販売しているセールス・オンデマンドによると、ルンバの購入者は30~40歳代が中心ですが、60歳代以上の高齢者もかなり多いそうです。これら二つの層では、ルンバを購入する理由が異なります。

 30~40歳代では「部屋を掃除する時間がない」というのが主な理由です。特に共働きだと、掃除は切実な問題になります。週末くらいしか掃除できないと、床にうっすらとほこりがたまる。これにイライラして夫婦げんかになることが少なくありません。身に覚えのある人は多いのではないでしょうか(少なくとも私にはあります)。ルンバの購入者からは「夫婦げんかが劇的に減った」という声が実際に寄せられているそうです。

 一方、高齢者がルンバを購入する主な理由は、私にとっては意外でした。「掃除機のコンセントを挿さなくてもいい」ということだそうです。部屋の電源コンセントは、たいてい床に近いところに付いています。「いったんしゃがんでコンセントを挿し、立ち上がる」という動作は、高齢者にとってはとても負担が大きいとのこと。しかも、違う部屋を掃除するときには、コンセントを挿し替えなければなりません。

 ルンバであれば、掃除が終われば自動的に充電スタンドに戻ってきます。また、普通の掃除機はクローゼットに片付けることが多いので、出したりしまったりが大変ですが、ルンバは出しっぱなしが前提なので、そうした手間もかかりません。要するに30~40歳代は「時間の節約」、高齢者は「労力の低減」が購入動機になっているのです。

 セールス・オンデマンド 取締役の徳丸順一氏は「家事には2種類ある」と言います。掃除、洗濯、後片付けといった「マイナスをゼロにする家事」と、料理などの「ゼロをプラスにする家事」です。「前者の家事は機械に任せて、人は後者の家事だけをすればいい」というのが、ルンバの出発点になっています。30~40歳代も高齢者も、「掃除という面倒な家事をしなくて済む」という意味では、受けている恩恵は共通しています。

 ルンバが登場する前は、掃除機市場は買い替えがメインでした。使用している掃除機が壊れない限り、なかなか買い替えたりはしません。これに対し、ルンバの購入者の大半は、既に普通の掃除機を持っている人だそうです。時間や労力を節約するために、追加で購入しているのです。業界の発展のためにも、新しい市場を作り出すこうした製品がもっと出てきてほしいと思っています。

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