タッチ・パネル最新市場予測(3)大型化は進むのか、「Windows 8」出荷と共に膨らむ期待
われわれが最近発刊した「タッチパネル市場調査レポート 2011年版」(詳細情報はこちらから)によると、2010〜2011年にかけて、タッチ・パネル・メーカーは生産能力を大幅に増強した。来るべきタブレット端末向けの需要に備えるためである。
タブレット端末市場については、いくつかの製品を除き、多くのタブレット端末は当初計画を下回る実績となったものの、全体としては好調なスタートを切った年であったと、当社はみている。しかし、その部材のタッチ・パネルは、セット・メーカーによる生産計画の変更などに揺さぶられることとなった。さらに、供給タイトが懸念された時期であっても、内実は「Tier 1」と呼ばれるトップ・サプライヤーにのみ需要が集中し、「Tier 2」以下は依然として受注獲得に奔走するなど、メーカー間で不均衡があったことも背景にある。
このため、2011年第3四半期以降は最も好調なスマートフォン向け需要の獲得競争が激化し、一部センサの価格低下を招いたとも言われている。
このような余剰感の中、仕様が徐々に公開されつつある「Windows 8」に、強い期待が向けられ始めた。Windows 8は「Metro」という独自のGUI(graphical user interface)を採用し、タッチ・パネル操作に親和性を持ったOSと言われている(図1)。

特に、タブレット端末市場の活性化に貢献すると期待されているが、同時にオールインワン型パソコンやノート・パソコンなどにも採用が検討され始めている。すでに公開されているタッチ・パネル仕様では、マルチタッチ方式や、各接触点の幅、検知する動きまで詳細に決められている。中でもマルチタッチは「5点以上」となっており、これに対応する方式として静電容量方式が最も有望視されている(図2)。


しかし、現状では静電容量方式タッチ・パネルのコストは他の方式と比較して非常に割高になっている。徐々に値下がりしてはいるが、静電容量方式の部材コストはこれまで搭載されてきた抵抗膜方式の3倍、光学方式の2倍にもなり、20型級では100米ドル以上のコスト・アップになる。さらに、透過率を向上させるための光学粘着剤を使用したフルラミネーションは、大型化するほど歩留りが低く、セット当たりのタッチ・パネルのコストを上昇させる要因となっている。そこで、セット・メーカーとタッチ・パネル・メーカーの双方がこのコスト・ダウンに向けて取り組んでおり、ラミネーション工程の少ないカバー・ガラス一体型やオンセル/インセルなどの方式が注目されている。
新OSを定期的に出荷し続けることにより、パソコンは仕様を向上させ、需要を活性化させてきた。タッチ・パネルもまたこの流れに取り込まれ、パソコンの一つの機能となりつつある。しかし、かつて「Windows 7」の出荷時にも、同様にタッチ・パネル搭載による需要拡大が期待されたことも記憶に新しい。パソコン・メーカー各社がタッチ・パネル搭載のノート・パソコンやミニノート(ネットブック)をラインアップしたが、結果として半年後にその機種数は半減した。
原因を端的に言えば、エンド・ユーザーが必要としなかったためである。パソコンのディスプレイ上のフォント・サイズは、指で直接ポイントするには非常に小さかった。また、文章作成や図表計算などの応用ソフトも、特にタッチ・パネルでの操作を必要とするものではなかった。タッチ・パネルは他のハードウエア・デバイスよりも、ソフトウエアとの連携を必要とするデバイスである。新規のデバイスを搭載するコスト・アップに対し、ユーザーが感じる利便性は小さかったため、タッチ・パネル搭載機種は普及しなかった。
万一再び、タッチ・パネルを単なるスペック・アップとして搭載するならば、Windows 7の時と同じ展開になる懸念がある。タッチ・パネルを活用すべきソフトウエアがどの程度出そろうかが、ユーザー・ニーズを喚起できる否かの分かれ目となるだろう。Windows 8は米Microsoft社が出遅れているスマートフォン向け市場や、ゲーム、動画の市場とも融合していく可能性を秘め、停滞気味のパソコン市場の起爆材料として期待されている。タッチ・パネル搭載が浸透するか否かは、タッチ・パネルの性能以上に、各パソコン・メーカーがその利便性をユーザーに対しどのようにアピールできるかにかかっている。
なお、「タッチパネル市場」の最新動向については、1月25〜26日に開催されるFPD産業の総合セミナー「第22回ディスプレイサーチフォーラム」(詳細情報はこちらから)にて、最新の分析情報をベースに筆者の見解を述べる予定である。
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