(3)“もの・ことづくり”、そのための“設計力強化”とは、どんな場に対して何をすることか 

 これからのものづくりをみるとき、最も明るい兆しは新興国市場の拡大である。しかし、新興国市場におけるターゲットを、そこそこの機能を低価格で提供すること、と設定するのでは短期的に価格戦争に巻き込まれ、それだけで終わってしまう。新興国市場の、シェア獲得・拡大・維持のためには、その国で、その国の生活様式・伝統・文化を創りあげてきた現地の人たちを中心とした“もの・ことづくり”が重要である。

 そのためには日本で、例えば開発・設計・生産準備の業務プロセス、業務手順をきちんと定義し、それを現地に持ち込むべきと考えている。あくまで現地設計に必要な業務プロセス+業務手順のフレームであって、日本におけるそれらと同一内容のものではない。

 そのフレームを、この連載では「業務プラットフォーム」と呼ぶ。

(4)“もの・ことづくり”の業務プラットフォームを実現するための有効な手段P3LMの提案

 なぜPLM視点かというと、従来のPLMについて、そのコンセプトや良しとしたいが、現実に日本の導入企業が実現できている内容に、多々不足・不満があるからである。そこには、筆者自身の反省もある。

 PLMが本来めざしてきた姿までを現実のものにしたい。あるいは、もっと業務の本質的なところまで深くカバーしたい。もっと現場業務の人たちにも喜んでもらえるPLMにしたい、という思いからの提案である。

 この意味でのPLMには、上で述べた3つが反映されなければならない。従来のPLMは、固定的なイメージで捉えられることもあるので、あえて合目的的に名付けてみた。それがP3LM(Products、Process、Procedure Lifecycle Management)である。

 では、次回からは「日本の“もの・ことづくり”」について、述べていきたい。

(隔週アップ予定)