早いものでもう年末ですね。2月にこのコラムを始めてから、飽きずに読んで下さっているみなさん、本当にありがとうございます。おかげさまで多くの方に読んで頂き、とても励みになります。今回は今年最後のコラムですし、ブログ風に気楽に書きますので、どうぞ力を抜いて読んで下さい。

 クリスマスにこの原稿を書いているのですが、山下達郎の「クリスマス・イブ」は今でもクリスマスの時期には人気があるのですね。私はいわゆるバブル世代で、「クリスマス・イブ」の曲が街に流れていた頃に大学生時代を謳歌しました。まあ、はっきり言って遊んでいました。

 YouTubeに、1988年から1992年まで放映された「クリスマス・イブ」が主題歌のJR東海のCMを見つけました。ヒロイン役の深津絵里、牧瀬里穂、高橋リナ・・・というと思い出す方も多いのではないでしょうか。

 このCMを見ると、20年前と今で変わったものと、変わらないものに気付かされます。変わったものの代表は、技術の進化。このCMには、携帯電話もインターネットもメールも自動改札機もありません。プリクラがようやく登場するくらいです。

 携帯電話がある現代では、このCMのようにクリスマス・イブに彼とすれ違いになりそうでヒロインがヤキモキすることはないでしょう。まあ、ヤキモキした方が恋愛にはいいかもしれませんけれど。

 また、この20年で通信のコストが劇的に下がりました。遠距離恋愛をしていても、わざわざ会いに行かなくても、メールを使ってほとんど無料でやり取りすることができます。また、PCにカメラを接続してSkypeを使えば、海外に居ても、相手の顔を見ながら簡単に話をすることができます。

 このような便利な現代をもたらしたのは、半導体をはじめとするエレクトロニクスの進化。高速なCPU、大容量のメモリ、高画素のイメージセンサ、高精細な液晶ディスプレイやタッチパネル、無線通信技術、携帯用バッテリーなどが、この20年の急激な技術の進化の立役者で、その主役を日本のエンジニアが常に担って来ました。

 こうしたハードウエアの進化が無ければ、Google、YouTube、Twitter、Amazonといったインターネットを使ったサービスも実現しなかったでしょう。

 さて、次の20年はどうなるのでしょうか? 今までのように、何かのデバイスを速くすればよい、小さくすればよいというわけには、なかなかいかなくなりました。技術の猛烈な進歩により、私たちの周りのエレクトロニクス製品は、既にかなりのレベルにまで達し、もう十分便利です。

 その結果、市場が何を求めているか、良くわからない時代になってきました。デジタル技術の最先端を用いた3Dテレビがビジネスとしては苦戦しているのが象徴的でしょう。